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ニューヨークで暮らすということ
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2 アメリカの労働組合と移民たち

『ニューヨークで暮らすということ』
[著]堀川哲 [発行]PHP研究所


読了目安時間:19分
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ユニオン、動く

 いま私が、メキシコから、アメリカに忍び込もうとする。メキシコは、不法移民の最大供給地である。どうするか?

 簡単なことである。道路を渡ればいいだけだ。国境のパトロールは強化されているけど、広い国境線の監視なんか不可能である。夜に道路を横断し、アメリカ側に入り、農場のかたすみかどこかにしばらく(ときとして2〜3日)隠れている。やがて、移民エージェントが手配したトラックが、幹線道路を少しはなれたあたりにやってきて、待っている。それに仲間たちと飛び乗って、ニューヨークやロスを目指すのである。大都会に入ってしまえば、もうこっちのもんだ。誰も不法移民を気にする人間なんかいない。あとはメキシカン・コネクションを経由して、仕事とアパートをゲットすればいいのである。

 アメリカの労働組合(ユニオン)は最初、不法移民にとても冷たかった。「俺たちの職を奪う、不法移民をたたき出せ!」というのがAFL‐CIO(アメリカ最大の労働組合連合組織)の方針であった。

 アメリカのユニオンは行動力がある。やわではない。「チーム・スター」というのは、長距離トラックの運転手のユニオンだ。10年ほど以前に、これが賃上げを要求して、ストライキを宣言した。しかし、ユニオンに入っていない運転手はストライキに参加しない。「スト破り」である。で、ユニオンの一部の過激な人たちは、幹線道路でそういうスト破りトラックを待ち伏せして、運転手めがけてライフル銃をぶっぱなすのである。何人かこれで殺されたそうで、スト破りトラックの運転手は、「撃たないでくれ! 俺にも家族がいるんだ!」というステッカーをトラックにはりつけて走ったのである。

 こういう過激なことは最近はあまり聞かないが、しかし、去年(2000年)の秋、ニューヨークでは、最大手の電話会社でユニオンと会社側が労働条件で対立、ついにユニオンはストライキに入ったのである。この会社は「ブライゾン」(旧会社名は「ベル・アトランティック」)という名前で、アメリカでは知らない人はいない。

 会社側はストライキに対抗して、管理職を総動員して、現場の仕事をやらせたのであった。しかし、突然、この会社の電話が不通になる事故が頻発するようになった。ユニオンのメンバーが、電話回線の切断をはじめたのである。
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