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(2021/11/26 追記)

犬耳書店の作品をRenta!に順次移行します。
詳しくはこちらでご確認いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

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プロのコーチング・スキル
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1 まずは、相手との信頼関係を築くこと

『プロのコーチング・スキル』
[著]播摩早苗 [発行]PHP研究所


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 コーチはクライアントの内側に興味をもって聴くというのが基本です。そのためには、よく相手を見ていること、聴いていること、受け入れていることなど「心から寄り添っていること」が必要です。まずは基本的なコーチング・マインドとスキルを見ていきましょう。

▼「コーチングの二つの効果」のバランスをとる

 コーチとは、クライアントが「こうなりたい」という人生を創造することを手伝っていく仕事です。その方法、その資源、その行動はすべてクライアントの内側にあると考え、クライアントが集中力を高めることで、クライアント自身の中から答を抽出できると信じます。そのための方法がコーチングなのです。

 一般に、コーチング・スキルの効果は二点あります。まず、相手との信頼関係を早くつくることができる、という点です。もうひとつは、相手の優れた能力を引き出せる、という点です。つまり、この二つがコーチングの効果であると同時に、コーチの目指すべきものなのです。

 もちろん、一方の効果だけを求める使い方もあります。

 接客の仕事をしているなら、コーチング・スキルによって「信頼関係を早くつくる」ことが可能です。相手の話に頷きながら、後述する「聴く」や「ペーシング」、「承認」などのスキルを使うのが効果的です。
「優れた能力を引き出せる」という効果は、相手の情報を引き出す場面に有効です。営業マンが、取引先の「ニーズを引き出す」ためや、SEが「お客さまの望むシステムを実現するためのヒアリングを行なう」というときなどに使えます。能力を引き出す手法により、本人も意識化できていないことに気づかせてあげられるのです。

 これらは、いずれもコーチング・スキルを使うことで、どちらかの効果を得られるケースです。

 しかし、プロコーチが継続的に行なうコーチングセッションは、どちらかだけの効果を得られてもコーチングとしては成立しないのです。プロコーチはこの両方の効果を得られるようにスキルを習得していかなくてはなりません。

 知人のコーチに、の「能力を引き出す」コーチング・スキルがとても優れているひとがいます。しかし、なかなかいいコーチングになりません。コーチの表情が冷たいために、クライアントは話をしていて安心できないからなのです。

 ひとは「このひとは私の話に批判的だ」「つまらない人間だと(さげす)んでいるかもしれない」と考えると、自分の潜在意識と会話できなくなります。クライアントにそのような雑念が入り込んでしまうのはコーチの責任です。このコーチのコーチングは、「信頼関係の構築」がうまくいっていないと言えます。クライアントが「このひとに何もかも、失敗やコンプレックスまで洗いざらい話そう」と思えなくてはコーチングになりません。

 信頼関係の構築ができていれば、クライアントは親近感を感じられ、安心して自分の内側と話ができます。

 ではそれだけですばらしいコーチングになるかというと、そうではありません。このような安心できるコーチとは、話をしながら情報が出てきやすくなり、気づきも多いのですが、引き出される話が必ずしも「目標達成」に向かうために効果的、かつ最短であるとは限らないのです。「能力を引き出す」コーチング・スキルが(つたな)い場合、たとえて言うなら、気の合う友人相手に気持ちのいい会話をしているのと変わらなくなってしまいます。

 プロコーチは、「信頼関係を築くコーチングの効果」と「相手の優れた能力を引き出すコーチングの効果」の両方に意識を向けて欲しいと思います。そのスキルについては、本書の全編にわたって述べていきます。

▼「コミュニケーションの快」を目指そう

 さて、継続的なコーチングセッションは楽しいことだけではありません。最初はコーチングセッションで熱心に語っていたクライアントにも、モチベーションの落ちる時期がやってきます。私はこれを「沈滞期」と呼んでいます。沈滞期の対処については、第4章2項の「目標達成を阻害する要因を排除する!」(後述)で詳しく説明しますが、クライアントは言い訳が多くなったり、コーチングセッションの開始時間を守らなかったりもします。

 当然と言えば当然で、自己実現や目標達成への道のりがクライアントにとって楽しいことばかりのはずはないのです。ですから、プロコーチはクライアントがコーチングを効果的に利用できるように、コーチングを「快」に感じてもらうことに注力して欲しいのです。

 コーチングを快としていく第一歩となるのが、「あのコーチと話をしたい」とクライアントに思ってもらうことです。上司・部下間でも同様です。効果的なコーチングをするには、まず「マネジャーと話をしたい」と思われなければなりません。

 コミュニケーションの「快」について考えてみましょう。私たちにとって、上司、友達、家族など周囲のひととのコミュニケーションは「快」か「不快」かに分けられます。快のひととは「このひととの時間は速く過ぎていく」と感じますし、不快のひととは「だからこのひとには話したくないのよ」と、話したことを後悔したりします。

 上司とのコミュニケーションもどちらかに分かれます。以前、二〇年間同じ会社に勤務しているOさんに「月曜の朝の気分を教えてください」ときくと、「重いです」との答。「誰の顔が浮かびましたか?」ときくと、「常務です」。常務とのコミュニケーションが、月曜日の彼の心理には重石になっていた、つまり「不快」だったのです。

 プロコーチは、クライアントにとってコーチングセッションが「快」であるように努めなければなりません。それは、クライアントにおもねるということではないのです。コーチが提供できる「快」は、相手をよく映してあげる鏡となることです。それによってクライアントは、「考えを整理できた」「自分を理解できた」「前進できた」と感じます。「快」は、クライアントに「気づき」をプレゼントすることで生まれるのです。

 具体的にどうすればいいかというと、コーチングのひとつひとつの基本的スキルを確実に用いることであると言えます。そして、クライアントの今の心の景色を一緒に細かく見ていこうとする姿勢で聴くことです。これも次の項で詳しく述べていきます。

 コーチは、クライアントにとって苦しい沈滞期がやがて訪れると考えておいたほうがいいでしょう。厳しい道のりでクライアントの生産性が下がると考えているとしたら、それは一面的なものの見方です。

 沈滞期になり、クライアントが苦しくて、問題と向き合うことを恐れたり、逃げ出したくなったりする場合にも、コーチングが「快」で、力強いものであれば、クライアントは人生を拓いていけるのです。
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