『女性のための身体のゆるめ方 身も心もほぐれるおうち整体』
[著]片山洋次郎
[発行]PHP研究所
ゆるむから気持ちよく廻る身体のサイクル
気分よく生きるということは、
思い切り集中して、深くリラックスする。
よく遊んでよく眠る。
気持ちよく疲れて気持ちよく休む。
つまり集中することとゆるむことのリズムがテンポよく刻まれているということですね。
そのためには、疲労を回復する、
気分の停滞を変えるための
切り替えの〈間〉が必要です。
本を読む、何かを作る、歌う、踊るなど
さまざまなリセット法があるでしょう。
いずれにしろ、何かと気ぜわしく
休むひまのない今日この頃、
1日のどこかに脱力タイムが必要です。
呼吸という基礎サイクル
1章でもお話ししたように、呼吸の吐く・吸うという動きのリズムの中に、身体のバランスを切り替えるポイントがあります。〈呼〉と〈吸〉の間ですね。
この〈呼〉と〈吸〉の間が十分広がっているのが、リラックスしているとき、隙間がないときが、集中・緊張しているときでした。また同時に、リラックスしているときは息を吐くときに力が抜けやすいのに対して、集中しているときは息を吐くときに余計に力が入りやすいという法則がありました。
ここで、一つ問題があります。ここ30年の整体の現場での観察からすると、リラックスすべきオフの時間に、吐く息で力が抜けないという人がずいぶん増えたということです。集中からリラックスへの切り替え自体が、むずかしくなっているということですね。
オフタイムでもオンの呼吸(息を吐くときに力が抜けない)のままになっていて、生活の中で自然にオフの呼吸にならないまま過ごしている人が多いということです。
息を吐くときには吸うときよりも脱力するという、あたりまえのようで失われがちな「呼吸のリラックスの基本」をとりもどしましょう。
オフの呼吸になれば、〈呼〉と〈吸〉の間はゆったりと広がりやすくなります。〈呼〉と〈吸〉の間がゆったり広がるほど、身体全体がリラックスします。
誰でも経験している、自然な呼吸のオン・オフの切り替え法があります。
それは、「伸び」と「あくび」です。伸びとあくびは別々にすることもあるかもしれませんが、基本的にセットです。伸びをすると、自然にあくびも出ることが多いでしょう。
そこで、伸びを意識的にしてみましょう。
息を吐きながら、背中を反らす。基本的にこれだけです。伸びをしてあくびも出てきたら、思い切りあくびもするとより良いです。自然に出てくる伸びを再現すればよいだけです。
伸びもあくびも、オフに切り替えるとき(たとえば寝る前)にはもちろん有効ですが、オンに切り替えるとき(たとえば寝覚め)にも有効です。考えがゆき詰まったときなどに試してみると、頭がスッキリします。
1日のサイクル
1日の中にも、集中とリラックスの波があります。あたりまえですが、眠っているときはリラックスしていて、起きている間はより集中しています。睡眠・覚醒のリズムそのものが、気持ちよさを生みます。
眠る前には、ある程度のリラックスが必要です。そして眠っている間に骨盤を中心にして、全身が完全にゆるみきってくれれば、朝起きたときにサッパリした気分になります。
前の日に嫌なことがあったようなときにも、よく眠って朝起きたら嫌なことをきれいさっぱり忘れている──というのが理想です。疲れ切っても、眠ってサッパリできれば、良い疲れと良い眠りなのです。
朝目覚めてから、午前中は集中度が上がっていきます。昼過ぎに一度少しゆるんで、夕方にかけてまた上がり、夜にはゆるんできて眠たくなる。
良く集中して、良くゆるむ。良くゆるむから、また良く集中する。
そういう好サイクルを、できれば生んでいきたいですね。
もちろん、人によってリズムのとり方には特徴があります。スロースターターの人、短いサイクルで休み休みやるほうがいい人、食べるとテンションが下がる人・上がる人、短眠型の人・長眠型の人など、リズムのとり方は人それぞれでいいのです。
まずは、朝起きたときに身心をシャキッとさせ、スムーズに集中してゆくために、「脚上げ脱ストレッチ(タテ上げ)」で1日のリズムを立ち上げてみましょう。同じことを寝る前にすれば、頭の興奮を鎮め、寝つきを良くします。
また、朝起きたときに顔を洗うという習慣は、十分に眼が覚めていない頭をスッキリさせる効果があります。