テロリズムを誘発する物量主義
私たちはむしろいま、あの九月十一日の同時多発テロ事件を、単にアメリカが一方的な被害者であり、悪はすべてアルカイダに象徴される、イスラームのテロリスト・グループにあったのだと単純明快に割り切っていいのかを、あらためて問うべきだろう。
テロ事件直後にはじまった、アメリカによるアフガニスタン攻撃、さらに大量破壊兵器隠蔽疑惑に発したイラク攻撃を前にして、私たちに突きつけられているのは、アメリカによる戦争のための戦争という現実認識である。すべての戦いが、神が促すところの報復と観念され、そこに神の加護があると信じる。これは米英軍があたかも中世の十字軍ででもあるかのように意識しているかに見えるアメリカ。