バナーラスで出会う神々
川べり、町中の小路と、歩く行く手でなんらかの神の像に出会うことになるバナーラス(ベナレス)には、大小およそ二〇万体の神像が祀られているという。
シヴァ神の聖地といわれるバナーラスだが、この町には、シヴァ神のパンテオンを構成するガネーシャや神妃のパールヴァティ、カーリー、ドゥルガーはもとより、ヴィシュヌ神の変化神の石像も多く、巡礼者の行き交う町は神の造形に溢れている。
偶像をいっさい禁じたユダヤ教やイスラームの聖地と対照的ともいえるバナーラスは、そこを通りかかる人すべてに、これらの偶像が語りかけているようにさえ見える。
しかもここではいかなる偶像も許され、どのような宗教的観念も、無神論さえも許されるという、ヒンドゥー教のとてつもない包摂力、多様性を許容する力が発揮されている。