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(2021/11/26 追記)

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パティシエ世界一 東京自由が丘「モンサンクレール」の厨房から
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ルポ・エッセイ
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IV ショコラ

『パティシエ世界一 東京自由が丘「モンサンクレール」の厨房から』
[著]辻口博啓 [著] 浅妻千映子 [発行]PHP研究所


読了目安時間:17分
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テンパリングとは?



 今日は、僕がこれから力を入れていこうと思っているショコラについてお話ししましょうか。チョコレートについてですね。


 チョコレートのお菓子を作ったことありますか。子供のとき、製菓用チョコレートを溶かして可愛い型に流し入れたけど、なかなか固まらず、表面もピカピカにはならなかった? でも食べてみたら味はちゃんと甘かった? ははは、溶かして固めただけだから、そりゃあ甘さは変わらないよね。


 ただ実際には、表面が白っぽくなったときには、そのチョコレートの舌触りもよくないはずですよ。これはテンパリングをとらなかった、という典型的な失敗で、チョコレートの性質を知らないことから起きる失敗です。


 まず、チョコレートでお菓子を作るときは、「クーベルチュールチョコレート」という製菓用チョコレートを使います。これはカカオバター三一パーセント以上、非脂肪カカオ固形分二・五パーセント以上、糖分が含まれた純粋なチョコレートです。このままでも食べられますが、流動性があるので湯煎で溶かしてボンボンショコラやお菓子の被覆に使われます。


 また、これは、フランス、スイス、ベルギーなどの各社から出ています。この(かたまり)を使って作るわけですが、そもそもクーベルチュールの状態で、完成された製品です。そう、そのまま食べてもいいわけだよね。それを、クリームにしたり、型に流し入れたり、何かをコーティングしたいから一度溶かすんです。


 クリームにするとき、たとえば、「シャンティ・ショコラ」という、生クリームにチョコレートを混ぜて作るふわっとしたクリームのときは、チョコレートをそのまま溶かして入れれば大丈夫。しかし、固めるときには、テンパリングと言われる温度調整が必要になってきます。これをやらないことにはチョコレートの美しい輝きも、なめらかな舌触りも得られません。


 テンパリングって何? とか、何のためにやるの? というのはよくある質問ですね。実はチョコレートには温度によって何種類かの結晶が出来ます。この中の、美しい輝きやなめらかな舌触りを生みだす結晶だけを(そろ)えようと思うと、その結晶だけが存在する温度帯にしてあげなくてはいけないのです。


 そのためには、まずチョコレートを溶かします。湯煎にかけて、すっかり溶かしきったときには五〇度くらいの温度になっています。ここから今度は氷水を当てたり、マーブル台にチョコレートを流したりしながら、二六、七度まで落としていく。


 僕のやり方は、三分の二くらいをマーブル台に流して、それをボウルに残った三分の一に戻しながら温度を下げる方法です。二六、七度は固まる寸前の温度、このときいろいろな結晶が出てきます。この不安定な状態から、ふたたび三〇度くらいまで温度を上げていく。この温度が一番安定した結晶の状態です。


 この状態を維持しながら、型に入れるなどの作業をすると、固まるのも早いし、固まると同時にちゃんと(ちぢ)むんです。だから型からもきれいにはずれる。さらに、しっかり縮んだぶんだけ強度もあります。

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