読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン

犬耳書店はRenta!へ統合いたします

(2021/11/26 追記)

犬耳書店の作品をRenta!に順次移行します。
詳しくはこちらでご確認いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

0
-2
kiji
0
0
1167529
0
パティシエ世界一 東京自由が丘「モンサンクレール」の厨房から
2
0
0
0
0
0
0
ルポ・エッセイ
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
XII お菓子と夢

『パティシエ世界一 東京自由が丘「モンサンクレール」の厨房から』
[著]辻口博啓 [著] 浅妻千映子 [発行]PHP研究所


読了目安時間:15分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ




釣りに明け暮れた少年時代



 今日は「アロマフレスカ」にご招待ありがとうございます。ここは、なかなか予約の取れないイタリアンレストランだそうですね。あなたが書いた『東京広尾 アロマフレスカの厨房から』も読ませてもらいましたよ。


 本によるとシェフの原田さんは、子供時代やんちゃ坊主だったそうですね。川の近くに住んでいて、釣りが好きだったとか。僕も似ています。え、シェフって釣りの好きな人が多いの? だったら僕も御多分に漏れずですね。


 僕の場合は海。生まれ育った石川県の(なな)()市は海と山のある、自然豊かな場所。特に家から海までは歩いて五分とかからず、本当によく釣りをしたり、潜ったりしていました。「引き」が来たら鈴が鳴るように釣り糸を垂らしておいてね、昼寝をするんです。鳴ったら起きて、海に飛び込む。竿(さお)を上げるのではなく、糸を持って魚のいるところまで泳いで行くんです。そうしてシイラというジャンプする魚やブリ、ハチメ(メバル)などをよく釣りました。


 そうそう、エビも捕まえましたよ。杉の木の葉つきの枝をロープで束ねたものを、淡水と海水の混ざり合うところに持っていき、水の中に置いておく。翌日か翌々日、それをざばーっと持ち上げると、枝と枝の間から三、四センチくらいのコエビがいっぱい落ちてくるんです。これを集めてね、今度は釣り針につけます。このエビは自分で食べるのではなく、次の釣りのエサにするもの。エサといえば、ゴカイもよく捕まえました。日持ちするように、自分で塩漬けにします。


 ほかに、タコやライギョも釣った。小刀で木をカエルの形に切り、釣り針を引っかけてエサの代わりにするんです。それを水の中に入れ、竿をピッ、ピッ、ピッてリズムよく引っ張ると、ガブッてライギョが噛みついてくる。あれはもう、快感です。


 中学後半から高校になると、荒波の日本海の岩場で素潜りして、サザエとか、アワビなどを捕りましたね。サザエの壺焼きなんて最高だった! 母親に焼いてもらったものに、お醤油とお酒とみりんをちょっと滴らしてね。たくさん捕れたときは近所に配って喜ばれましたよ。贅沢はしていないけれど、魚介類はとにかく新鮮なのを食べていましたね。東京に来てびっくりしたのは、魚と水がまずいこと。今も魚は、高いお金を出しても新鮮なものを買うように心がけています。


 今も夏に五日間ほど、故郷に帰ったときは必ず海に潜ります。今でも素潜りで一〇メートルくらいは潜れますよ。それから里帰りしたとき必ずするのは、祖父の墓参り。


 七尾の思い出を話し出すと止まらなくなる。では今日は食事をしながら、七尾時代の思い出話に少しお付き合いください。


「おじいちゃんがついている」

この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:6234文字/本文:7355文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次