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深層心理で売る技術
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イメージを売る

『深層心理で売る技術』
[著]内藤誼人 [発行]PHP研究所


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 私たちは、商品それ自体でなく、「イメージ」を買っている。

 イメージという感性的な要素は、お客に購買したいという気持ちにさせる上で、大変に重要である。いいイメージを抱かせる商品は、例外なく売れている。

 もともと日本人は、きわめて感性的で、情緒豊かな国民性を持っている。多くの日本人は、芸術家などでなくとも、虫の鳴き声や夕暮れに情緒を感じる。日本人はイメージを大切にするので、いいイメージを持たせてくれる商品でないと、買いたいという気持ちが起こらないのである。

 よく知られているように、ベートーベンの「交響曲第5番」を「運命」と呼ぶのは、日本だけである。輸入盤を買えばわかるが、「運命」という意味の単語は、パッケージにない。だが、「交響曲第5番」というタイトルでは、なんともそっけなさを感じるし、イメージを大切にする日本人の感性にあわない。そこで、わざわざ「運命」というタイトルをつけて売っているのである。

 ショパンの名曲とされる「別れの曲」も、日本だけのタイトルで、ショパンの「エチュード第3番」というのが本当の名前である。だが、「エチュード第3番」というタイトルより、「別れの曲」のほうが、私たちの心に響くのだ。クラシックの名曲として日本人に親しまれているものは、曲想をイメージさせるようなタイトルがつけられている。もし、そっけないタイトルのままで売り出していたら、決して売れなかったであろう。

 イメージというのは、実体があるわけではないので、その存在を見つけるのはなかなか難しい。しかし、お客がある商品を買うかどうかには、大きい決定力を持っていることは疑い得ない。

 たとえ言葉にはできなくとも、「なんとなく心惹かれる」商品に出くわしたとしたら、その商品の持っているイメージを探ってみるとよいだろう。そういうトレーニングをしていると、売れる商品に共通して見られるイメージの要素といったものが、体感的に理解できるはずだ。

 それぞれの商品が放っているイメージというのは、商品によって違う。温かそうに見えるものもあれば、冷たそうに見える商品もあるし、子どもっぽいイメージを放つ商品、大人っぽいイメージを放つ商品などもあるだろう。そういうイメージを大勢の人に尋ねて調査してみることで、商品の売れ行きを予想することもできる。

 アメリカの心理学者スタン・グロスによると、スーパーの棚は、英雄、ヒロイン、魔女、怪物などのグリム童話に出てくるような登場人物たちのシンボルで満ちれているという。グロスは、製品を「人」として扱うように勧めている。それぞれの商品は、いろいろなイメージを放っているのだ。グロスは、商品のイメージが一番重要な要素であって、それを大切にすれば、どんな商品も売れると述べている。

 普通の経済原理に従えば、安い商品のほうが魅力的に見えるはずなのに、実際には、高いブランド商品が売れまくっている。これに興味を持ったウィスコンシン大学のデボラ・R・ジョン博士たちのグループは、買い物に来ていた175名の主婦(18歳から45歳)にインタビューを行って、「わざわざ高い商品をなぜ買うのか」について尋ねてみた。

 この質問に対して、主婦の多くは、「コストが高いほど、品質もよさそうだから」と答えていた。つまり、価格の高さは、その商品の品質が高いというイメージを放っていることがわかったのである。

 同じような野菜をとってみても、価格が高い商品のほうが、無農薬の野菜なのではないか、丹念に作られた野菜なのではないかというイメージをふりまく。実際は、そうではないのかもしれないのに、価格の違いだけが、そういうイメージを作り出すのである。悪い業者などは、普通に作られた野菜に「無農薬」というラベルだけを貼って、それを高い価格で売り出している。それでもけっこう売れてしまうのは、私たちは、価格によって、商品のよさを感じやすいからである。やはり、イメージを買っていると言わざるを得ない。人気の黒酢は1本1500〜4000円とかなり高いが、安いものより高いもののほうが売れ行きがいい。高いほうが健康効果も高いと思われるからだろう。

 マーケティング戦略の1つに、わざと高めの価格設定をし、ほとんど値引きに応じないという方法があるが、そのような方法は、「品質がいい」というイメージを高めるのに役立つ。ディスカウント店のように、とにかく安さを追求するやり方をしていると、「安かろう、悪かろう」のイメージを払拭できないのである。

 お客というのは、勝手に足りない情報を推測する傾向がある。品質についての情報がなくとも、価格だけを見て、高品質かどうかを判断するのも、その1つである。

 テキサス大学マーケティング学科のS・ブロニャジック助教授たちは、カメラを買いにきたお客たちが、カメラの「保証期間」を見て、そのカメラの「性能」や「故障率」などを勝手に推測していることを発見した。お客の多くは、どれくらい保証してくれるのかという情報を頼りにして、保証期間が長ければ長いほど、それは優秀なカメラの証拠である、と考えていたのである。

 頑丈なつくりで、どんなに強風の中でも火を灯せるジッポ社のライターには、「永久保証」がついている。どんなにボロボロになったジッポでも、ペンシルバニア州のブラッドフォード工場に送れば無料で修理し、しかも返送代無料というアフターケアは、比類のないものだ。ジッポ社は、年間50万個の修理をし、その費用は20万ドル以上もかかるそうだが、ファンの期待に応えている。ジッポが優秀なライターであるというイメージがあるのは、「永久保証」によって、頑強なイメージが強烈に感じられるからだ。

 私たちが、買い物をするときには、お店への、商品への、店員へのイメージを抱いていることを忘れてはならない。いったんお客に悪いイメージを持たれると、なかなかそのイメージは変更できないから、なるべくお客の期待を裏切らないようなイメージ戦略を心がける必要があるのである。
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