読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
-2
kiji
0
0
1168839
0
弁護士はBARにいる 悩める社長の法律トラブル対策
2
0
0
0
0
0
0
ビジネス
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
第3章 離婚、親族との争い、事業承継……。とある親族経営企業経営者の闘争

『弁護士はBARにいる 悩める社長の法律トラブル対策』
[著]前岨博 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:24分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ





第3章のお悩み社長


C(58歳)


もともとは電球用ソケットを製造していた親族経営企業。その後PCやスマートフォン向けの電子部品を取り扱うようになり、事業が拡大。創業者の娘B子と結婚したCが創業50周年の2014年に社長就任している。近年の顧客ニーズである生産現場への最適な供給と商材の海外調達等の多様化に対応するため、子会社の設立や、新物流体制への投資など収益、事業を拡大させたCだが、製造業回帰派の会長(B子の父)周辺の古株からはワンマン経営を指摘されている。


最終学歴:関西学院大学理工学部

ファッションの志向:アメリカントラディショナル(ブルックス・ブラザーズ、ラルフローレンなど定番のものを伊勢丹で購入している)

住まい:田園調布。接待やひとりでも気軽に飲める馴染みの店が神楽坂にあるため、中野に引っ越しを検討中。

家族構成:専業主婦だった妻との間に二人の子がいるが、成人しそれぞれ独立している。


Cの経営する会社


●社名:梅上電気工業株式会社

●本社所在地:大田区

●設立:1964年

●資本金:5億円

●従業員数:70

●事業内容:電気機械器具製造及び販売

●経営理念:人を大切にする企業





事案その1

『悪妻、世にはばかる』


「離婚……ですか」

「……ああ。マスターにこんなこと言うのもなんだけど、もう限界なんだ」

「差し支えなければ、理由を伺っても?」

「妻はね、確かに美人で、一緒にいて鼻が高かった。でも、それ以外の部分があまりにひどくて……。ブランド品しか身につけず、金を毎月、湯水のように使う。少しでも気に入らないことがあればヒステリーをおこして私を罵る。昔は育児を放棄して子どもを義母に預け、夜な夜なホストクラブで遊びまわっていたっけ。今も連絡が取れなくなることはしょっちゅうで、証拠はないがきっと浮気でもしているんだろう。せめて私が会社を引退するまで我慢しようと思ったが、これでは私の心が持たない」

…………

…………

「……お話を伺っている限り、離婚もやむなし、というように感じますが、会社のほうは大丈夫でしょうか」

「まあ、離婚するとなると相当な逆風の中に突っ込むことになるだろう。なんせ、婿養子として会社に入りこみ、ちゃっかり社長の座に納まった立場だからね」

「経営者のひとり娘とのご結婚は確かに転機だったかもしれませんが、その後Cさんが社長となってから、会社の業績はずいぶん持ち直したではありませんか。こういってはなんですが、もはや時代に取り残されつつあった電気部品メーカーを、パソコンやスマートフォン向けの電子部品を扱う注目のメーカーに生まれ変わらせたのは、Cさんの手腕でしょう。それが評価され、実力で社長の座を勝ち取ったわけですから、胸を張っていればいいのではないかと思いますよ」

「はは、そう言ってくれると救われるよ。確かに、現在の成長があるのは自分がいてこそ、という自負はある。人から継いだ会社だけど、今では我が子のようにかわいいし、手放したくはないんだ」

「立ち入った話で恐縮ですが、会社の株式はどれくらい保有なさっているのでしょうか」

「事業継承の時点で、70%の株を先代から受け継いだ。先代は会長職に就いて、残りの株もそのまま持っているけれど、私の経営権は安泰だ」

「……奥さまとの離婚話は、どの程度まで進んでいるのでしょう」

「私から切り出した時には、妻は何も返事をしなかった。でもそれから3日後に、妻の代理人を名乗る弁護士から、会社に内容証明郵便が届いたよ。妻側の要求は、離婚する代わりに、財産分与、あと慰謝料だと。まあお金でけりがつくなら、どうにかして都合するさ。会社さえ残れば、なんとかなる」

「状況、お察しいたします」

…………

「しかし、法的見地から申し上げると、離婚によって会社を去らねばならなくなる可能性が、大いにあります

「え? 法的……見地?」

「はい。問題は、離婚による財産分与です。実は保有している株式も、財産分与の対象となるのです。つまり、こちらから何も言わなければ、35%の株式が奥さまに移ってしまいます」

「……妻に持っていかれる株と、義父が持っている株を合わせれば、65%……過半数を超えてしまう!」

「そうです。二人が結託すれば、いつでも社長を解任できる状況になるのです」

「なんということだ……何か、何か策はないかな?」

この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:9825文字/本文:11618文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次