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(2021/11/26 追記)

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学問のすすめ
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生き方・教養
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第四編 上に立つ者の責任とは何か

『学問のすすめ』
[著]福沢諭吉 [解説]岬龍一郎 [発行]PHP研究所


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日本は本当に独立したのか
 近ごろ、密かに学者たちの話を聞くところ、「日本の将来はとても予測できないが、どうも独立国家としてやっていけるかどうか、心配である。だが、この勢いで発展すれば、必ず文明国家となるであろう」という者がいた。あるいは「独立を維持できるかどうかは、二、三十年先でなければ、解答は出ないだろう」という者もいた。二人とも独立に対して疑問を持っていた。また、はなはだしく日本を蔑視(べつし)している外国人の説に従えば、「日本の独立などおぼつかないだろう」と、難色を示した。

 これらの話を聞いて、別に失望することもないが、このような話が出るということは、誰もが日本人の独立心について疑いを持っているということである。なぜなら、いま英国へ行き、「イギリスの独立は保たれているか」と聞けば、おそらく彼らは笑って答えてはくれまい。なぜ答えてくれないのか。それは英国が間違いなく独立国家であり、疑いようがないからだ。

 では、現在のわが国の文明の状況はどうか。たしかに、昨年と今年では明らかに進歩している。が、一抹の不安があることも事実である。

 私にしても疑いがないわけではない。だが、私はこの国に生まれた日本人である。日本人ならば疑う前に、それぞれの立場で各自で努力するのが(すじ)だろう。

 むろん政治は政府の仕事であるが、民間の仕事には政府の関与できない部分もある。だから国家全体を整えるときは、国民と政府が協力してこそ初めて成功する。要するに、国民は国民としての義務を果たし、政府は政府としての責任を果たし、ともに助け合ってわが国の独立を維持しなければならない。

 すべて、ものを維持するには、力のバランスというものがある。たとえば人間の身体でもそうだ。健康を保つためには、飲食、太陽、空気といったものがなくてはならない。寒さ、暑さ、痛さ、(かゆ)み、などの外からの刺激を受けて、それに身体の内部が反応して、肉体の調和はとれている。もし、この外からの刺激が感じられなくなり、肉体の生命力だけに任せていたら、人間は一日ももたない。

 それは国家も同じである。一国の政治は国民全体の活動である。国家の独立を保とうとするなら、内に政府の力、外に国民の力が作用して、そのバランスをとる必要がある。政府は生命力であり、国民は外側からの刺激なのである。
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