『[ビジュアル版]英会話「1日1パターン」レッスン』
[著]デイビッド・セイン
[発行]PHP研究所
日本で英語を教え始めて20年以上になりますが、生徒さんから「英会話を上達させるには、どうすればいいですか?」という質問をよく受けます。
そのためには、「会話の引き出し」を増やすことがなんといっても大切です。ただ、「何百、何千というフレーズをこれから覚えなくてはいけない」と思うとげんなりしてしまい、それだけでやる気がそがれてしまうでしょう。また、気合いと根性でなんとかフレーズを覚えても、悲しいかな、それを実際に使う前に忘れてしまうことがほとんどです。
「ではどうすればいいの?」と思うかもしれませんが、超効率的に引き出しを増やす方法が実はあるのです。
ここでまず、以下の3つの日本語を頭の中で英語にしてみてください(ここで英文が思い浮かばなくてもまったく問題ありませんのでご安心を)。
・メニューをください
・魚料理でお願いします(機内食を選ぶとき)
・割引してほしいのですが
どんな英語が浮かびましたか?
実はこの3つとも、「I'd like~」という同じひとつのパターンを使って表現できます(「03 I'd like~ ~が欲しいのですが/~をください」参照)。
フレーズの丸暗記では、ひとつ覚えてもひとつのことしか話せるようになりません。一方、「I'd like~」のようなパターンの場合は、たったひとつ覚えるだけで、何通りものことが一気に表現できるようになるのです。
しかもみなさんは、すでに中学、高校と英語を学んできて、「日常会話で必要な基本パターン」はほとんどご存じかと思います。ただ、それを適切な場面で、とっさに引っ張り出して使いこなせていないだけ。それはとてももったいない! 宝の持ち腐れなのです。
反対に、短期間で英会話が上達する人は、「活用範囲の広い基本パターン」だけを押さえ、あらゆる場面で徹底的に使い回すことで、とても効率よく「会話の引き出し」を増やしています。
今回は、「よく聞くけど使い勝手の悪いパターン」「学校では教わるけど、ネイティブがあまり日常会話で使わないパターン」などは排除し、実際にネイティブが日常会話でよく使う、使い勝手のいい「頻出パターン」だけを厳選しました。そのため、収録パターン数は50と決して多くありませんが、これだけでもたいていのことは英語で言えるようになります。
「ネイティブ英語」、と聞くとかまえてしまうかもしれませんが、ネイティブも日常シーンでは中学英語並みのごく簡単なパターンを使って会話をしています。
そのパターンをあらかじめ知っておけば、ネイティブの会話も格段に聴き取りやすくなります。ヒアリング力も向上し、TOEIC®などの対策にも効果的です。
英語に限ったことではありませんが、語学習得で大切なのはなんといっても「習慣づけ」、つまり毎日何かしら英語に触れ続けることです。
そこで本書では、忙しい方でもスキマ時間を見つけて毎日続けられるように「1日1パターン」に絞りました。「たったそれだけ?」と思うかもしれませんが、各パターンを使った例文を8つご紹介しています。さらに、パターンが定着するように、英作文トレーニングも10題ご用意しました。自分で考える能動的な作業を行うことで、より頭に印象深く残るように工夫してあります。
もちろん、夏休みなどのまとまった時間が取れるときに、1日7~10パターンずつこなして、短期集中で一気にマスターすることも可能です。
いずれにせよ、そのパターンがなじむまで、何度も口にしてみてください。実際の会話の場面で「とっさに口から出てくる」ようにするためには、何度も繰り返すことが不可欠です。
最後に、ひとつでもパターンを覚えたら、実際の場面で即実践してみましょう。伝わった喜びは、「もっと話したい」というさらなるモチベーションにつながります。英語は勉強ではありません。コミュニケーションを楽しむための便利なツールです。たくさん使ってこそ「道具」はいきてきますよ。
Learning English can be fun again!
David Thayne(デイビッド・セイン) + エートゥーゼット