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アメリカ政治の秘密
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政治・社会
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第6章 日本管理の前線司令官 ジェラルド・カーティス

『アメリカ政治の秘密』
[著]古村治彦 [発行]PHP研究所


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 ジェラルド・カーティス(Gerald L. Curtis 一九四〇年─)は、一九七〇年代から日本政治に影響を与えてきた。年齢から言っても日本管理三兄弟の長男であり、今でも第一線に立っている。カーティスの自民党と民主党内に張り巡らせた人脈の地下茎の全貌は明らかにできない。しかし、ところどころに顔を出す人とのつながりを見ると、カーティスの作った人脈が日本国内に張り巡らされていることが容易に想像できる。カーティスは、ライシャワーが敷いた日本研究正統派=ジャパン・ハンドラーズのベテランとして大変な活動をしている。

▼カーティスが期待する日本の若手政治家たち


 ジェラルド・カーティスの仕事は、日本の政治家たちと関係を築き、彼らに情報を与えたり、アメリカの動きを教えたりして、日本の政治に影響を与えることだ。現在の民主党でカーティスが早くから目をつけていたのが、民主党の前原誠司と古川元久である。そして、現在育てている最中なのが自民党の小泉進次郎である。

 カーティスは、二〇〇二年にPolicymaking in Japan: Defining the Role of Politicians(邦題『政治家の役割:「政治主導」を政治の現場から問う』)という本を出している。この本は、日本財団(Japan Foundation)の助成を受け、日本国際交流センター(Japan Center for International Exchange)から出版されている。まえがきは、日本国際交流センター理事長の山本正(やまもとただし)(一九三六年─)が書いている。

 この本は、カーティスの編著であり、共著者は当時の自民党、民主党、公明党の有望な若手議員たちだ。自民党からは根本匠(一九五一年─)、伊藤達也(一九六一年─)、馳浩(一九六一年─)、民主党からは古川元久(一九六五年─)、前原誠司(一九六二年─)、公明党からは上田勇(一九五八年─)という当時の中堅・若手国会議員たちが参加している。彼らは一章ずつを担当し、英語で自分の得意分野の政策について書いている。彼らが英語で書いたのではなく、日本語で書いた文章を英語に翻訳してもらったというのがより正確であろう。

 根本匠(自民党)、上田勇(公明党)、古川元久(民主党)は、東大卒の官僚出身である(根本、伊藤、上田は現在落選中)。上田と古川は官僚時代にそれぞれコーネル大学とコロンビア大学に留学し、修士号を取得している。古川のコロンビアでの指導教授はカーティスだった。

 根本匠は、一九九三年に初当選した。根本は、安倍晋三(一九五四年─)、石原伸晃(一九五七年─)、塩崎恭久(一九五〇年─)と共に、NAIS(ナイス)の会というグループを作っていた。また、小泉政権と安倍政権ではそれぞれ首相補佐官を務めていた。また、渡辺喜美(現みんなの党代表、一九五二年─)、石原伸晃、塩崎恭久とは四騎(よんき)の会を作っていた。この四騎の会はチーム安倍とも呼ばれていた。

 馳浩は、金沢の星陵高校(メジャーリーガーの松井秀喜の出身校であり馳の母校でもある)の国語の先生からプロレスラーに転身した。その後、出身地石川県から国会議員となった。当選四回、教育やスポーツを専門にする文教族であり、町村派(旧森派)に属している。森喜朗とは出身県が同じで、同じ文教族である。

 前原誠司と伊藤達也は共に松下政経塾出身である。前原は八期生で、伊藤は五期生である。前原、伊藤ともに日本新党から国会議員となったという共通点を持っている。伊藤は現在落選中だが、政経塾出身者では初の大臣(金融担当大臣)となった人物である。伊藤は、政経塾出身者の間では人望を集めているそうだ。現在はPHP研究所のコンサルティング・フェローをしている。

 カーティスは、『政治家の役割:「政治主導」を政治の現場から問う』の第一章を担当している。そのタイトルは、「政治家と官僚:何が間違っていて、何がなされてきたのか」というものだ。カーティスは、官僚主導の政治から政治家主導の政治への転換について書いていて、共著者となった若手政治家たちを褒めている。

 現在は国会議員ではない人もいるが、カーティスが見込んで本を出してやったのだ。「私は彼らと交流があっていつでも会えます。こうした議員たちが将来、日本をリードするんです。名前くらいは覚えておいても損はないですよ」と品評会にカタログや見本の商品を出しているようなものなのだ。

 実際、民主党から執筆に参加している前原、古川の両氏は、現在それぞれ民主党政調会長と野田政権の国家戦略担当相の要職にある。これまでにも様々な重職を担ってきた。どちらも未来の首相候補だ。伊藤や根本についても落選していなければ、現在の自民党で要職に就いていたはずだ。

 コロンビア大学を卒業、修了している政治家は他にもいる。民主党の政治家では、稲富修二(東大卒、丸紅勤務、松下政経塾)、道休誠一郎(上智大卒、シティバンク・野村證券勤務)がコロンビア大学大学院を修了している。自民党では小泉進次郎(関東学院大卒、CSIS勤務)がいる。彼らは二〇〇九年の総選挙で当選してきた一期生だ。これから彼らがどのようになっていくか注目に値する。

▼カーティスが作った野党人脈が菅内閣につながった


 カーティスは現在の民主党政権にも大きな影響力を持っている。それは、彼が一九七〇年代から当時の野党の政治家たちと関係を築いてきたからだ。カーティスは、当時の自民党だけでなく、野党との人脈づくりを進めていた。これは、日本研究正統派の始祖であるライシャワーの「日本の左派陣営も含めた幅広い対話」という路線を継承したものである。

 カーティスの野党人脈形成に貢献したのが安東仁兵衛(あんどうじんべえ)(一九二七─一九九八年)という人物である。私は安東仁兵衛とカーティスの関係が、民主党の派閥の一つである凌雲会を作り、菅政権を生み出したと考えている。そのことをこれから書いていく。

 まず、安東仁兵衛、通称安仁(あんじん)について簡単に説明したい。安東仁兵衛は、旧制水戸高校在学中に日本共産党に入党、東大進学後は、東大の共産党細胞で活動した。
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