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ゼニの幸福論
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生き方・教養
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日本はいま、不幸の大量生産! あちこちで、断末魔の悲鳴が聞こえている!

『ゼニの幸福論』
[著]青木雄二 [発行]インプレス


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「それにしても…」


 と、朝刊から顔をあげて、つくづく思う今日このごろであります。

「日本はいったいどうなってしまったんやろか……」


 そして、青空を見上げて、またつぶやいてしまうのであります。

「これから、日本はいったいどうなるんやろか……」


 いまの日本は、まったくもって(あお)(いき)()(いき)


 昭和初期の大恐慌以上のきつーいドン底状態にあえいでいる。


 まったくもって世も末の末期的な症状だといってよい。


 経済企画庁(二〇〇一年一月五日まで存在した日本の中央省庁の一つ)は「景気は足踏み状態にある」とか「回復基調になった」とか、ごまかして、なかなか認めようとしないけれど、不況がまだまだ続くであろうことは、だれの目にもはっきりしている。


 日産生命、北海道拓殖銀行、徳陽シティ銀行、三洋証券、山一証券、ヤオハン、京樽、東食、カネテツ……。

「まだまだこれだけですむはずがないやろ」


 そう考えている人も多いはずであります。


 実際問題、これからは金融機関ばかりでなく、ゼネコンを筆頭として、あらゆる業界で倒産騒ぎが予想される。


 底知らずの不況が、拡大していくものと、覚悟しておくべきや。倒産したら、社員は仕事がなくなる。


 ゼニが稼げなくなる。


 とりもなおさず、不幸になってしまう。


 日本はついに、不幸が大量生産される国家になってしまったのである。


 政府がなかなか「不況」を認めようとしないのは、もちろん、不安感が国民の間で増大して、経済的なパニックが起こることを恐れているからや。


 だから「足踏み状態」なんてごまかしているけれど、ほんまのことをいえば、もう“米よこせデモ”や打ちこわし、暴動が起きたっておかしくない。


 世の中の不況は、そこまで深刻になっている。


 一九九七年度のデータによれば、自己破産者の数は、なんと驚くなかれ、七万五千人を突破してしまったという。


 ほんの二、三年前までは、自己破産者が四万人を超えたとかいって騒いでいたんや。それがもう倍増のいきおいや。これはほんまにえらいこっちゃ。


 不況とリストラの(あらし)が吹き荒れるなか、サラリーマンも自営業者も収入が下がっている。給料三割カットなんて話はざらである。みんな生活が苦しくなっている。住宅ローンの支払いに四苦八苦しているサラリーマンが大勢いる。一流企業とかなんとか、そんなものはいまさらなんの保障にもならない。エリート社員だって、給料の高い順番にリストラされてしまうご時世や。収入低下から、よんどころなく自宅を手放してしまった人も大勢いる。手放したところで、高く売れるわけではない。なにをしたって、生活は苦しくなるばかりではないか。


 主婦向けの雑誌なんかを書店でパラパラめくると、一家四人の食費がひと月で二万円とか三万円とか出ている。四人前五百円の夕食予算のなかで、なんとかおいしいもんを食べさせようと、主婦は頭を悩ませている。モヤシとチクワを妙めてメインディッシュにしたり、ワンパック百円の安いタマゴでお(なか)をふくらませようとあれこれ工夫したりしている。


 まったく涙がちょちょぎれる話やんか。


 ほんまに、あの豊かな(と、マスコミは報道していた)日本は、いったいどうなってしまったんやろ。


 あの繁栄はただのまぼろしにすぎなかったんやろか。


 ほんまに、どないなってしまうんや?


 このあいだ、僕のファンやという四十代のサラリーマンに会った。


 彼は、れっきとした一流家電メーカーの正社員である。その彼が、涙を流して、「会社を辞めたい」と話していた。

「いや、もう、四十代五十代の人間が三十人ばかり一部屋に集められて、なんにもする仕事がないんです」

「ないいうたかてあんた、仕事なんて、自分でつくるもんとちがうのか」

「ちがうんです。会社はね、邪魔な中年になんにもさせずにいやがらせをしてるんです。わたしらが自分から辞めるのを待っているんです。できることといえば、新聞の切り抜きくらい。せめて工場の草むしりでもさせてくれたら、なんぼ気が晴れることか」


 結局、彼は、会社を辞めた。


 彼の不幸は、彼一人のものではないはずである。


 日本の社会そのものが、彼と似たりよったりの悲鳴をあげているのではないか。日本人みんなの手から、幸せがスルリと逃げてしまったのではないか。


 そんな気がしてしょうがない今日このごろである。


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