『お坊さんが教える イヤな自分とサヨナラする方法』
[著]小池龍之介
[絵]カモ
[発行]PHP研究所
この本を文庫化するにあたりまして、久方ぶりに読み返してみました。
いやはや、現代社会の中であちこちに転がっている、ありとあらゆるやっかいな性格のクセを取り上げたことよなあ、と、ネガティブな性格類型のカタログを眺めるような心地で、ニッコリ笑ったことですよ。
そう、願望・怒り・混乱や迷い・他人と比べること・意見に固執することなどなど、人間という生き物は、「イヤな性格」の見本市のようなものなのです。
そしてそれは、ある意味ではごく自然なことなのです。そんな「イヤな性格」など自分の中にないかのように、見て見ぬフリをしてしまうなら、「自分っていい感じの人だなあ」と自惚れることはできるでしょうけれども、それでは背伸びをした自惚れ屋の、偽善者になってしまい、疲れてしまうでしょう。
ですから、本書を通じてイヤな性格の、イヤな自分に気づいたとしても、それを見ないフリをしたり叱りつけたり殺そうとしたり、しないでくださいね。そうして殺気立っても、改善はしませんから。「こんな性格なんだね」と、優しくニコニコと、気づき見守っていてやってください。
温かく見守られているうちに、イヤな性格も優しくほどけて、素直さや柔軟さや明るさへと脱皮していくことでしょう。
小池龍之介