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(2021/11/26 追記)

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自由をいかに守るか ハイエクを読み直す
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生き方・教養
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2 「自由」は「民主」を凌駕する──[第二章 偉大なるユートピア The Great Utopia ]

『自由をいかに守るか ハイエクを読み直す』
[著]渡部昇一 [発行]PHP研究所


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国家を常に地上の地獄としてきたのは、人間がこれを地上の天国にしようとしてきたからにほかならない──F・ヘルダーリン
What has always made the state a hell on earth has been precisely that man has tried to make it his heaven. ‐ F. HOELDERLIN. (p. 24)


 章扉にあるヘルダーリンの言葉について言及しますと、ソ連がやり、毛沢東もやったように、貴族制度を廃止し、金持ちをなくし、地主をなくしたことがまさに地獄をつくったといっているわけです。この引用が象徴するように、ユートピアをつくろうとした努力が地獄をつくったということが第二章の基本テーマです。

われわれに「自由への道」と約束されたものが、実は「隷従への王道」であった
... what was promised to us as the Road to Freedom was in fact the High Road to Servitude. (p.26)


 本章の冒頭では、フランスの自由主義に対する反動として出てきた社会主義を、進歩主義者の大多数が自由主義の代わりに信奉するようになってきた、とハイエクはいっています。つまり、自由を旗印にする人が自由主義を捨て社会主義を受け入れるようになったということです。その理由は社会主義が発生当時、独裁主義であったことを今日の人々はほとんど忘れてしまっているからだとハイエクはいいます。本書では具体的にいっていませんけれども、ヨーロッパで最初に社会政策を断固としてとったビスマルクは二十数年にわたって絶対権力を握り、ドイツ統合を成し遂げました。その事実を忘れているということです。

 また、社会主義の基礎を築き上げたフランスの思想家たちは、その理念を実現するために強力な独裁政府が必要だと信じていたわけで、そもそも初めから独裁主義と社会主義とは一致していたとハイエクは指摘しています。彼らは独裁でもいいから社会主義を実現するということを隠さないどころか、思想の自由が一九世紀社会の諸悪の根源であると見なしていたとハイエクは指摘します。現代の計画主義者の先駆者的存在であったサン・シモンが計画委員会の命令に従わない連中は「家畜同然の扱いを受ける」だろうと予告していた例をあげています。フランスでも初期の社会主義者は全体主義者であり、自由を認めず、社会の悪いものは自由主義から出たという認識を明快に持っていた。ところが、「民主主義的思潮」が出てきたことで事態が錯綜していくのです。

 その当時、個人主義的な制度である民主主義と全体主義的な制度である社会主義が対立関係にあることをはっきり認めていた人物として、フランスの思想家ド・トクヴィルの名があげられ、その言葉が引用されています。
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