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自由をいかに守るか ハイエクを読み直す
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生き方・教養
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3 「競争」と「規制」の中庸は難しい──[第三章 個人主義と集産主義 Individualism and Collectivism ]

『自由をいかに守るか ハイエクを読み直す』
[著]渡部昇一 [発行]PHP研究所


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社会主義者は、まったく異なる、おそらくは相矛盾する二つのことを信じている。それは、自由と組織である──エリー・アレヴィ
The socialists believe in two things which are absolutely different and perhaps even contradictory: freedom and organization. ‐ LIE HALVY.(p. 32)


 章扉に引用されている、「まったく異なる、おそらくは相矛盾する二つのこと」が「自由と組織」であるという言葉の中に、この章の基本観念が述べられていると思います。

計画化は、所得の分配が公正とは正反対に思える方法で統制される場合にも、なくてはならないものである
... planning is no less indispensable if the distribution of incomes is to be regulated in a way which to us appears to be the opposite of just. (p. 33)


 社会主義には平等、生活の安定という文句のつけようのない立派な理想がありますが、その理想を達成する方法になると、とんでもないものが出てくるとハイエクはいいます。本書が書かれた時代においては、生産手段の私有を撤廃して国有にすること──民間企業をなくすこと──、そして中央当局が計画経済を行なうことが理想を達成する手段でした。その手段、方法が問題だということをハイエクは本章で明快に説き明かしています。

 たとえば、けるための生産でなく、必要に応じての生産は一見、素晴らしいように見えますが、そのためにはものすごい計画化が必要になると同時に、その計画化が所得の分配が不公正になるようにも操作し得るとハイエクはいいます。つまり、すべてを計画化することは、計画する側の意思によって好きなように分けることもできるという意味であって、社会主義の計画が公平に分けるとは限らないという落とし穴があることを指摘しているわけです。

 実際、ソ連体制下でノメンクラトゥラと一般市民との間で、分配がどれほど違っていたかをわれわれは知っています。また、共産主義が最も徹底的に行なわれた国の一つであるルーマニアでは、チャウシェスク政権が倒れたときに彼の金の風呂の存在がいわれました。計画する立場にいる者は、やろうと思えば何でもできる。社会主義の計画化がすなわち分配の平等をもたらす道具ではないのです。

完全な運命論者でない限り、誰もが計画者であり、すべての政治的行為は計画化の行為である
... everybody who is not a complete fatalist is a planner, every political act is ... an act of planning.... (p. 34)


 ハイエクは、自由主義に対するものとして、「集産主義(collectivism)」という言葉を使い、社会主義を集産主義の一形態としています。彼が本書を執筆していた当時、産業といえば工業でした。だから、「生産を集める」というイメージが頭の中にあったのかもしれませんが、現在の日本では商業、サービス業が大きなウエイトを占めていますので、これは「集団主義」と意訳したほうがいいのではないかと私は思います。
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