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(2021/11/26 追記)

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自由をいかに守るか ハイエクを読み直す
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生き方・教養
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5 「権力者」は未来を見通せない──[第五章 計画と民主主義 Planning and Democracy ]

『自由をいかに守るか ハイエクを読み直す』
[著]渡部昇一 [発行]PHP研究所


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民間人に自分たちの資本をどのように使用すべきか直接指図しようとする政治家は、最も不必要なことに自ら力を注ぎ込もうとしているだけでなく、どんな会議や議会にも安心して任せ切れないほどの権力を、自分自身が持っていると思い込んでいるのだ。しかし、自分がそのような権力を行使するに足ると自惚れているほど愚かで身のほど知らずな人間に、政治をゆだねることほど、危険なことはない──アダム・スミス
The statesman who should attempt to direct private people in what manner they ought to employ their capitals, would not only load himself with a most unnecessary attention, but assume an authority which could safely be trusted to no council and senate whatever, and which would nowhere be so dangerous as in the hands of a man who had folly and presumption enough to fancy himself fit to exercise it. ‐ ADAM SMITH. (p. 56)


 章扉にアダム・スミスの引用があります。アダム・スミスを戦後、復活させた最大の力になった一人はハイエクでした。そして、時間が進むにつれてますますアダム・スミスの原理に世の中が近づいています。アダム・スミスは経済を経済の立場から説いたわけですが、かつてはナショナリズムのために比較優位などの原理が十分機能しなかった。たとえば、鉄鋼は隣の国のほうが効率的に生産して安いけれども、自国で生産したものを優先するということが行なわれていたからです。今は国境が低くなって、ヨーロッパではアダム・スミスの通り動き始めています。

 また、お金は政府の力で何ともできないことがわかってきました。今やお金は電信記号です。これは合理的に動くよりしょうがない。合理に反対すれば、国家でも潰れます。イギリスにしても投資家のソロスに売り込まれて負けたくらいなのです。一投資家に国家が負ける時代になっているわけです。

 この時代において、何が理論的に正しいかというとアダム・スミスです。結局、アダム・スミスの時代に急速に入りつつある。その意味でアダム・スミスは未来の書であるという見解を持つことが必要だと思います。

集産主義の特徴をあらわす格好の新語は、全体主義的というものである
[In short, they are] totalitarian [in the true sense of this new word] which we have adopted to describe ... collectivism. (p. 56)

「ある決定的な社会的目標に向かって社会全体の労働を計画的に組織すること」が集産主義、コレクティヴィズムです。そういう単一の目的に向かう「意図的な統制」がないこと、個人の気まぐれな思いつきによる行動しかないことを、社会主義者は批判するのだとハイエクはいいます。

 若い人は経験がないでしょうが、われわれが子供のころには、戦争をするのにみんなが勝手なことをやっていいのかとよくいわれました。そして、統制経済に進まなければならないという前提が国民に普及したころ、配給制度が始まったのです。
「共産主義」「ファシズム」「その他さまざまな種類の集産主義」をハイエクはひとくくりにして、「社会全体とその全資源を単一の目的に向けて組織することを欲し、個人それぞれの目的が至高とされる自主独立的分野の存在を否定することにおいて、等しく自由主義や個人主義と一線を画している」といいます。そして、集産主義というのは真の意味においての「全体主義(トータリタリアニズム)」だと断じているのです。
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