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自由をいかに守るか ハイエクを読み直す
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生き方・教養
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6 「法」の確立が強い経済を生む──[第六章 計画と「法の支配」Planning and the Rule of Law ]

『自由をいかに守るか ハイエクを読み直す』
[著]渡部昇一 [発行]PHP研究所


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あらゆる訴訟事件は一般的・合理的な諸規則に従って審理され、最小限の例外しか許さず、論理的な命題に基づくものでなければならない、という形式法の根本原理が、資本主義の自由な競争段階でのみ成立するということが、最近の法社会学に関する研究で改めて確認されている──K・マンハイム
Recent studies in the sociology of law once more confirm that the fundamental principle of formal law by which every case must be judged according to general rational precepts, which have as few exceptions as possible and are based on logical subsumptions, obtains only for the liberal competitive phase of capitalism. ‐ KARL MANNHEIM.(p. 72)


 第六章は法律がテーマです。晩年になるとハイエクは法哲学者と呼ぶべきであり、「法の支配」は晩年のハイエクの思想では重みを増したジャンルでしたが、その芽生えがここにあります。

 章扉にマンハイムの言葉が記されてあります。それは、「法の支配」は資本主義の自由主義的な競争段階にしか適用できないという主旨で、要するに自由主義でなければ──つまり、社会主義では──「法の支配」はないということがニュアンスとして含まれています。

 それが本章でハイエクが述べようとするものでもあります。

自由裁量の権限は、できるかぎり抑制されなければならない
... the discretion... should be reduced as much as possible....(pp. 72-73)


 ハイエクのいう「法の支配」とは、明確に決定され、前もって公表されているルールによって政府が行なうべき活動は規制される体制のことであり、自由な国家では「法の支配」が守られているといっています。

 その場合、行政組織に許される自由裁量権はできるだけ小さくなければならないともいっています。ハイエクの立場からすると、自由裁量の増大は法の破壊にほかならないわけです。

 これは今でも通用する深い洞察だと思います。日本では行政府の自由裁量権がまことに大きいから、「法の支配」がそれだけ小さいということになります。

 また、「法の支配」の法は誰でも知っているゲームのルールみたいなもので、その枠内で個人は自由に目的や欲望を追求することができるとハイエクは規定しています。法としてルールがあらかじめ決められていて、その中では誰がどうやったっていいということです。

 つまり、個人の判断によって生産活動ができる変動のない法の枠組みとルールを持った体制が「法の支配」であり、自由競争をする人間にとって道具の一つであるとハイエクはいいます。

 要するに、道路における交通標識みたいなもので、ルールによってもたらされる具体的な効果はわからないが、全体として利益になるものであるわけです。

 これに対して経済活動を中央集権的に統制する体制は「恣意的政治」だということになります。

〔法の支配の反対のことは〕政府の強制的手段が国民に課す新しい順位づけである
... a new distinction of rank which the coercive apparatus of government imposes upon the people.(p. 74)

「法の支配」は形式上のルールだとハイエクは考えます。形式上というのは、誰が得するかわからないけれども、原則として決められているという意味です。
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