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取り戻せ、日本を。
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政治・社会
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第八章 今度こそ「戦後レジームからの脱却」を

『取り戻せ、日本を。』
[著]渡部昇一 [発行]PHP研究所


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胡錦濤主席の理不尽な要求を拒否した安倍総理


 本書の最後に、安倍さん自身のエピソードに触れながら、第二次安倍内閣が果たすべき課題について述べておきましょう。

 先に述べたように、第一次安倍政権はきわめて短期間のうちに、次々と新政策を打ち出しました。教育基本法を改正し、愛国心や伝統の尊重といった道徳面の強化を実現しました。防衛庁を防衛省に昇格させました。集団的自衛権の行使についても前進させました。憲法改正のための国民投票法も成立しました。

 どれ一つとっても、意義深く、大きな政策課題でした。あまりにも突然すぎた病気辞任表明会見がなければ、偉大な宰相として記憶されていたのではないでしょうか。こうして短く業績を振り返ることで、安倍総理の資質が浮かび上がってきます。

 なにより安倍さんは、スジを通すリーダーでした。第一次安倍政権のエピソードを、一つご紹介しておきましょう。

 二〇〇七年、ドイツのハイリゲンダムでサミット(先進国首脳会議)が開かれました。そこに、中国がオブザーバーとして出席していました。

 そこで、安倍総理が、中国の国家主席だった胡錦濤(こきんとう)氏と話し合おうとしたのです。すると、胡錦濤氏のほうから注文をつけてきました。それは「李登輝(りとうき)の訪日は絶対に止めてもらいたい」ということでした。ご存知のとおり、李登輝氏は、台湾(中華民国)の民主化に貢献した偉大な元総統ですが、すでに政界を引退していました。

 中国主席の理不尽な要求に対して、安倍総理は毅然として「条件をつけられて会談する必要はない」と言って断ったそうです。

 すると中国側が一歩下がって、「李登輝が訪日しても政治的な発言はさせないと約束してほしい」と迫ってきました。それでも安倍総理は、「そんな条件をつけられる筋合いはない」と言って、また断ったというのです。

 結局、中国側は無条件で日中首脳会談に応じました。以上のやり取りを振り返ってみても、安倍さんが一国のリーダーとして、対中外交の場でも背筋がピンと伸びていたことがわかります。

 広く知られたとおり、拉致(らち)問題でも、こうした安倍さんの資質が、いかんなく発揮されました。

 平成十四年九月十七日、小泉純一郎総理が、日本の首相として初めて北朝鮮を訪問し、平壌(ピヨンヤン)市内の「百花園招待所」(迎賓館)で金正日(キムジヨンイル)総書記(当時)と会談しました。

こうして拉致被害者を帰国させた


 当初、北朝鮮は拉致を認める予定ではなかったのですが、「(小泉総理に随行していた)安倍晋三・内閣官房副長官と思われる人物が、午前の会談後の休憩中に、北朝鮮政権の公開謝罪の拒否に強く抗議して、首脳会談中断を強力に要求している」という内容の盗聴資料を北側が入手し、金正日に報告を上げたため、金正日が午後の会談で、即興的に拉致を認めたことが、後に明らかになりました。

 当日の模様を、後日、安倍さん自身がこう語っています。
「午前の会談では、(もつぱ)ら小泉首相が拉致問題などで北朝鮮側を非難し、金正日氏は何もこたえず聞いていました。休憩で別室に案内されたとき、私は小泉総理に、北朝鮮が国家として拉致を認めず、謝罪もしないのであれば、平壌宣言に署名する必要もない。決裂でいい。断固帰国しましょうと、申し上げました。当然、盗聴されていると思いましたので、はっきり言いました」

 こうして当初は北のシナリオになかった金正日による拉致認定が実現したのです。もし日本側に帰国されれば、当てにしていた経済支援もなくなります。困るのは北朝鮮です。それを承知のうえで、盗聴されていると思ったからこそ、安倍さんは大芝居をうったのでしょう。

 あのとき、安倍さんが決然としてスジを通そうとしなければ、拉致被害者が帰国することは実現できなかったでしょう。拉致を認めることすら、なかったでしょう。

 昨年十二月二十八日、つまり、二度目の総理就任の翌々日、安倍さんは、横田めぐみさんの両親ら、北朝鮮による拉致被害者の家族と総理大臣官邸で会談しました。会談には、古屋圭司・拉致問題担当大臣や菅官房長官も同席しました。

 この会談で安倍総理は、「五年前に私が総理大臣の職を突然辞して、皆さまに大変残念な思いをさせてしまった。皆さまを落胆させたことが、私にとって最も辛いことだった」と謝罪したうえで、「今回もう一度、総理大臣の職に就いたのは、何とか拉致問題を解決しなければならないという使命感によるものだ。この問題は、必ず安倍内閣で解決するという決意で臨みたい」と強い決意を語りました。

 会談に出席していた家族会代表の飯塚繁雄さんは、「安倍総理大臣の考えを聞いて、期待が大きく膨らんだ。われわれは、もう待てない。来年の早いうちに解決への道筋と結論が見たい」と述べています。

 実は、第一次安倍政権の誕生直後、拉致被害者の横田めぐみさんの母親である横田早紀江(さきえ)さんは、こう胸を膨らませました。
「安倍晋三さんが総理になったときは、それはもう期待しました。期待しすぎるくらいに。家族会のみんなが拍手を送って『安倍さんが何とかしてくれる、すごい光が差し込んだ』と」(『週刊朝日』平成二十四年五月十八日号記事)

 それが、たった一年で、突然の辞任表明会見。横田早紀江さんは、こう落胆しました。
「病気だったから仕方ないけれど、辞任を聞いて、グサッと刃物で刺されて傷つけられた気になった。少し腹が立ちました。期待が大きかった反動かもしれません」(同前)

 もう二度と、彼女らの期待を裏切ることは許されません。今度こそ、拉致問題が解決する。ご家族の皆さんを筆頭に、私たち日本人の大きな期待が高まっています。

決断と実行の政治家、安倍晋三


 言うまでもなく、安倍さんは、生まれも育ちもよいジェントルマンです。普段から温厚な、紳士的な人物です。ですが、悪い意味でのボンボン育ちではありません。時として、必要があれば、先述のような思い切った決断を、淡々と下せるリーダーシップを兼ね備えています。

 政治家として、なかでも総理大臣という一国のリーダーとして、なにより必要なのは決断と実行でしょう。
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