手っとり早く「証明する力」を手に入れようとする者は、とりあえずモノを「もつ」。携帯電話、オーディオ機器、パソコン。あるいは、似たようなものだが、身を飾る。髪型を変え、服装で演出する。高価な腕時計やブランド物のバッグや装身具、宝石類の装飾品といったモノに凝る。ピアスをし刺青の真似事をする。これが家族単位になると、俵万智の歌のごとく、「他人から見られる幸せ一身にまといて光る電飾の家」(『朝日新聞』二〇〇一・四・二十八)となる(これはクリスマスのときに、家をイルミネーションで飾ることを競いあう地区がある、ということを詠んだものだろう)。