そういうとき、自分のことは棚に上げて、おとなのいうセリフは決まりきっている。「なにかひとつでいいから、自分の好きなこと、やりたいこと、打ち込めるものを見つけろ」。「成功」したおとなはさらにいう。夢をもて、願えばかならず叶う、と。
で、わたしも一応おとなだからそういいたい。これが堂々めぐりなのはわかっているが、実際、そうとしかいいようがないのである。「ひとつのこと」「好きなこと」とは、社会のなかで自分の場所をみつけるための錘である。その錘を見つけ、固め上げ、着実に社会に降ろすこと。そこがとりあえず自分の場所となる。