わたしたちはこの一階と二階をどのように生きればいいのか。生まれてから死ぬまで、一階だけで生きていって大丈夫なのか。それとも社会で生きている以上は、二階にも上がるように努力すべきなのだろうか。
この問題については、とうの昔に吉本隆明がこのように指摘している。
ふつうの人間は、「あした十円もうかるか、二十円もうかるか」というような「反復繰返される生活過程についてならばよく考えるが、それ以外のこと、まして、反自然的な形而上的なことならば、まったく考えない」。つまり「世界のどこかに戦争があるとか、革命があるとか、なにかあるとか、そんなことは全然考え」ない。