「まじめ」は魯鈍である。だがあらかじめ言っておくと、この章では、真の「自分の力」は真の「まじめ」なことだと明確に断定する。強引だが、強引さも確信犯的な「まじめ」の力である。
こう書くと、なんだ「まじめ」の話かと、もうだれも「まじめ」に読む気がしないかもしれない。あの、暗くて、おもしろみがなくて、地味で目立たなくて、コツコツと勉強や仕事ばかりして、そのくせ「むっつり助平」で、屁もひらないような顔をして、ひ弱で、おとなしくて、陰険で、オタクで、友だちもいなくて、なにが楽しくて生きているのかわからない、あの「まじめ」の話か、と。