佐藤俊樹は『不平等社会日本』(中公新書)で、現在の日本社会では「ホワイトカラー雇用上層(専門職と管理職の被雇用)」、つまり知的エリート層の部分が固定層化して子どもによる階層相続が強まっているのではないかといっている。その結果、この社会は「いわば、『努力すればナントカなる』社会から『努力してもしかたがない』社会へ、そして『努力をする気になれない』社会へ」なりつつあるのではないか、と。
この仮説の是非をめぐっては論議があるが、ここではそれを正しいと受け止めてみる。佐藤の調査によれば、知的エリート層には実績主義者が多く、自営者層には努力主義者が多いということだが、そこでわたしがいいたいことは「で、それがどうしたのか」ということだ。