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歴史
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第九章 京都とサブカルチャー

『京都の壁』
[著]養老孟司 [発行]PHP研究所


読了目安時間:18分
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 学者として京都大学と交流があったことが、私と京都をつないだ大きな接点ですが、二〇〇六年にオープンした京都国際マンガミュージアムの館長を務めていたことも、たびたび京都を訪れる理由の一つになっています。


 私は『マンガをもっと読みなさい』(晃洋書房)という本を出しているくらいですから、なぜ日本人がこんなにマンガやアニメが好きなのかを私なりに分析していました。サブカルチャーといわれるこのジャンルについて、アカデミックに語る人が多くなかったからでしょうか、マンガやアニメについてよくコメントを求められました。それがきっかけなのか、ミュージアムの館長を仰せつかりました。この章ではマンガを中心に、京都とサブカルチャーについて考えてみたいと思います。


マンガとの出合いは手塚作品



 マンガミュージアムの館長を務めていたから言うわけではありませんが、私は子どもの頃からマンガが好きでした。手塚作品を読んでいたからです。手塚(おさ)()さんと私は、そんなに年は離れていないのですが、手塚さんの作品が世に出るのが早かったので、私は小学校の終わり頃には彼の作品を読んでいました。


 今、記憶に残っているのが『罪と罰』。ドフトエフスキーの作品をマンガ化したもので、手塚さんが大阪で活躍していた頃の最後の作品です。『ブラック・ジャック』もおもしろく読みました。手塚さんは医学部出身で、しかも、奈良医大の解剖で博士号を取っています。以前、東大の医学図書館に東大卒の人が手塚全集を寄付してくれると言ってきました。私が図書館長をしていた頃だったので、「じゃあ、喜んで引き取ります」と言って、それに手塚さんの論文をつけて所蔵しました。あとで「なぜマンガを図書館に入れたんだ!」と怒られましたが、図書館長の権限ですから、いいのです(笑)。


 私は虫捕りが大好きです。手塚さんも自分のペンネームに「虫」をつけるぐらいの虫好きな人でした。もっとも、戦前はほかに楽しみがなかったということもあります。私は虫を捕って標本をつくっていますが、手塚さんは自ら虫の絵を描いて、図鑑を作っていました。実は標本づくりは時間がかかります。いろいろとノウハウがあって、職人のような手順が必要です。手塚さんはそんな時間が持てなかったのでしょう。


なぜ日本でマンガが発達したのか?



 日本はもともと、マンガ的な絵が非常にポピュラーだった国でした。歴史的に見ても、平安時代からすでに『(ばん)(だい)()(ごん)()(ことば)』などの絵巻物が、マンガの基本的なかたちを表していましたし、『鳥獣戯画』は日本のアニメーションの原点だともいわれています。


 さらに言うなら、日本語に音訓読みができたときから、マンガが発達する素地はできていたと思います。これは意外に見過ごされていますが、日本語の特殊性にマンガを必然的に呼び起こすものがあったのです。おそらく、いちばん大きな要因は、中国から文字を取り入れた後、奈良時代から平安時代のあいだに、漢字仮名混じり文が成立したことです。


 日本語は非常に特殊な言語で、漢字と仮名があり、さらに音読みと訓読みがあります。

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