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(2021/11/26 追記)

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もっと気楽に生きてみたら!
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生き方・教養
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第三章 思い込みと要求水準

『もっと気楽に生きてみたら!』
[著]頼藤和寛 [発行]PHP研究所


読了目安時間:23分
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 われわれは思い込みの塊である

 心理社会的ストレッサーというのは、たとえば職場の人間関係、夫婦不和、子どもの問題、近所とのゴタゴタ、経済的トラブルその他、ふだんわれわれを悩ませる出来事のことです。

 これに対し、他人事ならわりと簡単にアドバイスや模範解答が可能です。しかし当事者にすると、それを聞いて「なるほど、では早速そうしてみよう」というわけにはいかないことがほとんどなのです。これはなぜでしょう。
「他人事だと思って、気安く言うね」といった感想が多いことも確かです。本人にすると、それなりに無視できないいくつかの条件があって、そのどれからも束縛されています。他人にはそれが見えないものだから、解決が容易だと感じやすいのです。

 さて、束縛条件としては、たとえば見栄、プライド、世間体、生活レベル、責任、これまでのいきがかり、意地、信条、つきあい、立場、義理、信用、愛着、その他、われわれがこれまで大切にしてきたいくつかの「こだわり」が代表的なものです。なぜ束縛条件かというと、それらの「こだわり」さえなければストレスからの逃避も解消も単純容易なものになるからです。

 上司にハラが立つなら一発殴ってやればスッとします。でもクビになるかもしれず、どこかへ飛ばされるかもしれず、最悪の場合は傷害で引っ張られます。つまり出世、収入、家計、職歴、前科、体裁その他が束縛しているから、われわれはグッと我慢するわけです。現に、そんなことに頓着(とんちやく)しない人種だと何度も上司や同僚を殴っては転職をくりかえしています。

 もちろんストレスの解決はそうした短絡行動しかないというのではありません。かつて陸軍の内務班でいじめられると、中には報復としてフケメシを食わすという手段に出る者もいたそうです。これは上官の食器に自分の頭のフケを混ぜて、そしらぬふりで食べさせるという復讐(ふくしゆう)のことです。まあ現代でも課長さんや重役の方はくれぐれも部下のOLをいじめたりセクハラしたりなさらぬよう。フケ茶や汚物茶という手もありますから。

 もっときつい鬱憤(うつぷん)晴らしとして、(うし)(とき)参りや無言電話、身辺の詮索(せんさく)、家族への脅迫などもあります。あるいは匿名の内部告発や内密に相手の足を引っ張るあれこれの手段を(ろう)することも可能でしょう。これだと相手の社会的生命を断ってしまうことすらできるかもしれません。

 しかし、そうしたあまり人聞きのよくない不明朗な対処ができない善良な人物ならどうしたものでしょう。

 これまた、ひとつの束縛なのです。つまり「自分はそれほどまでしてあくどいことはできない」という自己規制、すなわち縛りがかかっているということになります。

 一般に、束縛条件が多いほど、またそのひとつひとつに強く縛られているほど、当面の解決法を見つけるのが困難になるという原則があります。

 なぜそれほどまで多くの束縛条件に縛られるかというと、その人が社会常識や社会規範を強固に定着させやすい体質だからです。考えてみれば、常識や体裁や法律やしきたりなどは全て社会規範、あるいは広い意味で「世間の約束事」なのですが、それを骨の髄まで染み込ませてしまいやすいタイプというのがあります。同じ家庭環境や教育環境に育った同胞でも、かたや野放図で常識外れなのから、かたやまったく保守的・伝統墨守・お行儀の見本みたいなのまでが現れることからもわかります。

 そして前章で紹介したKSMタイプのほとんどが、こうした規範や社会通念をしっかり定着させやすい性格なのです。

 定着させられた「世間の約束事」は、それぞれが一種の「思い込み」です。あまりに強く思い込まれているので、本人には金科玉条や鉄則のように感じられます。それの正当性を疑うことも、まして違背することなど思いもよりません。彼らにとって、それは万有引力の法則やピタゴラスの定理と同じほど確固不抜なものなのです。

 なぜそれほど確かなものと信じられている内容を「思い込み」と表現するのかといいますと、現に人口の一部はそれを「思い込んでいない」からです。
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