『離婚を考えたときに読む本』
[著]新川てるえ
[発行]PHP研究所
「いつか離婚したい」──そんな声をよく耳にします。
「離婚したい理由」や「すぐに離婚できない理由」は、人によってさまざまです。「本当に離婚をしてもいいのだろうか?」と迷う気持ちもよくわかります。しかし離婚は、迷っているうちはすべきではありません。「離婚しないと幸せになれない」とか「離婚したほうが幸せな生活ができる」としっかり思えないと、離婚しても決して幸せにはなれないからです。
「思いつきや衝動で離婚をしてしまって後悔しないように」「あなたの『いつか』のタイミングに備えてしっかりと準備をし、よい離婚ができるように」と考えて本書を執筆しました。
小さなお子さんを抱えての「子連れ離婚」、子どもが大きくなってからの「熟年離婚」についても、その時々に考えなくてはならないことをまとめています。自分の年齢や子どもの年齢、夫婦の歴史や築き上げた財産によっても、それぞれしっかり考えて準備していかなくてはならないことがたくさんあります。
私は家庭問題のカウンセラーとして、多くの離婚相談や離婚後のシングルマザーの生活相談に対応してきました。そこでは必ず、「『まず、いつまでに実現したい“夢”なのか』を決めることからはじめてください」とお願いしています。
「いつか○○したい」という思いが“願望”であるうちは、いつになっても「いつか」のままです。それが“願望”以上の“夢”であるならば、目的と目標をきちんと見きわめて、一つひとつ確実にクリアしていくことこそが大切です。
「いつか」が、一体いつなのか? まずはそれを決めることからです。来年なのか五年後なのか、あるいは十年後なのかをまずは決めましょう。この「いつか」が目的です。目的が決まったら、そのためにクリアしていく目標を考えてみましょう。目標は字のごとく「道しるべ」なので、目的(=夢)に到達するまでにしなくてはならないことです。
「三年後に離婚したい」と決めたら、そのために今できることはなんなのか? 本書を読んで、まずは三年後の自分の離婚をイメージすることが、最初の目標かもしれません。そして、これから考えなければならないこと、実行しなくてはならないことを、しっかりと紙やパソコンなどに書き出してみましょう。心の整理がつかない人は、カウンセリング機関などを訪れることも、目標の一つになるかもしれません。
経済的に不安があって離婚を決意できない人は、その不安を払拭するために仕事に就き、収入を得ることからはじめなければなりませんが、いきなりバリバリと働くことは現実的には難しいので、役に立つ資格をとったり、スキルアップのための学びが必要となったりするかもしれません。
あなたが自信をもって、離婚の“正しいタイミング”を見きわめられるよう、そのきっかけづくりのお役に立つことができれば幸いです。
新川てるえ