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日本人が知らない「世界の宗教」の見方
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生き方・教養
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第十一講 神道と日本人の信仰

『日本人が知らない「世界の宗教」の見方』
[著]呉善花 [発行]PHP研究所


読了目安時間:22分
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自然と人間を区別しない精神性



 古代に儒教や道教や仏教が伝えられる以前から日本にあった土着の信仰に基づく祭祀・儀礼・生活習慣などを総合して、一般に(しん)(とう)と呼んでいます。


 日本には()()(よろず)(のかみ)がいるといわれるほど、たくさんの神々が人々に信仰されてきました。神々には、自然神、土地神、国家神、職業神から生活にかかわる神々に至るまで多種多様なものがあります。地域ごと、季節ごとに神々を迎えて行なわれる各種の祭りは、いまなお全国各地で行なわれており、日本人の生活と歴史の中で重要な役割を果たしてきました。


 日本最古の書物『古事記』(七一二年)や日本最初の国史『日本書紀』(七二〇年)には、古くからの日本の神々についての記述が神話伝承の形をとって豊富に収録されています。そこには大きく三つの特徴が見られます。



 1 「かつて木や草が人間と同じように話した時代があった」とされていること。木の葉や枝が風に吹かれる音、川が流れる音、虫の声など、自然が発する音を人間の言葉と同じように意味あるものとして聞いていた時代があったことを示している。


 2 神々の多くが、さまざまな自然物や自然現象や自然景観を本体としていて、しかも人間と同じように名前をもって呼ばれ、人間同様に扱われていること。樹木や草花、鳥や動物、川の水の流れやその深み、海の渦潮や波、岩石や土地や山や谷や森、嵐や雨や霧、月や太陽や星……など。

『古事記』では、たとえば花の神を「()の花咲くや()()」と、讚岐の国(いまの香川県)を「(いい)(より)(ひこ)」、阿波の国(いまの徳島県)を「(おお)()()()()」など、いずれも人名をつけて呼んでいる。花や川や土地も、人間と同じに人格をもった存在とみなす意識があったことを物語っている。


 3 太陽の光に感応して妊娠したとか、蛇と接して妊娠したとか、風に吹かれて妊娠したとか、つまり人間が相手ではなく、自然に触れて子供を(はら)んだという話が多々見られること。自然界(異境)から人間生命の「原素」がもたらされる、という観念があったものといえる。



 こうした精神性は通常、「自然を神と感じた時代」のものとされます。しかし、神々はカミ(神)とかミコト(命)とか尊称をもって表現されているものの、人間とはっきり区別がつけられているとはいえません。自然を神として人間から区別する自然信仰よりもさらに古い、自然と人間とを区別することがなかった時代、自然と人間を同一次元で対等なものとみなした時代の精神性にまで届くものです。これは、自然と自分(人間)を同一視する意識といえます。


 現代日本人の信仰には、自然と人間を区別しない自然信仰以前の要素が強く見られます。ここが日本人の信仰を理解するうえで、きわめて重要なところです。


神道の底流としての自然信仰



 自然信仰は、自然と人間との違いを感じ取ったときから始まります。あらゆる自然物も人間と同じようにそれぞれ意志をもっているという感じ方から、どうもそうではないらしいという感じ方が芽生えたときから、自然に対して「おそれ、かしこむ心」(()()する心)が生まれます。


 たとえば、川が氾濫するのは川が怒っていることだから、川を叱ってやめさせたり、あるいは(なだ)めておとなしくさせたりすればいい、そうやって川と親しい付き合いをしていけば、川が怒ることはないという感じ方が、自然信仰以前の人々のものです。


 一方、川の意志は人間の意志とは違うようだ、人間の意志の力ではどうにもならないすごい力のようだ、人間もこの意志の管理下にある、という感じ方から自然信仰が生まれていきます。


 自然と人間の分離感覚が、あらゆる「生死」をコントロールする力が自然にあるという考え方を生み出し、生と死の区別の意識、精神と物資、精神と肉体、言葉と物の区別の意識を生み出します。

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