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第四章 生きがいについて

『青春ノート』
[著]加藤諦三 [発行]PHP研究所


読了目安時間:20分
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 対 談

宮崎銀行副頭取

 (当時日本銀行貯蓄推進部長)

   井 上 信 一

早稲田大学助教授

   加 藤 諦 三



    生きがいの周辺


 加藤 ぼく自身はたいへん不勉強なので、いろいろわからないのですが、経済が成長して、公害が出てくるようになったり時間も余るようになった。この辺で生きがいとか、幸福といったものが出てきた感じを受けるのですけれども……。

 井上 生きがいというのは最近よく耳にしますが、このことばは、日本人自身が考えだしたものだと聞いています。

 ですが、いまの生きがい論というのは、生きがいをください、というのだと思うんです。東京へ行けば二倍の給料がもらえる。地方ではもらえない。だから二倍の給料をくれるところに行く。給料だけでなく厚生施設のいいところへ行く。こういうことで入ってみたけれども、まだ何か満足できないから、今度は生きがいをください、ということなんでしょう。

 そういうふうに自分はいつも被害者であって、自分は無報酬で何かをするとか、できるとかというのではなく、相当恵まれた人も含めて自分を被害者と思ってるわけです。

 みんなが被害者だと思っているところに問題があり、被害者は生きがいがありませんという被害者意識なんですね。

 加藤 被害者意識ともうひとつ少数者意識というのが多いんですよ。

 ところで経済が成長してくると、労働時間が短縮されますが、問題はその労働のほうに生きがいを見い出していくのか、余暇のほうに生きがいを見い出していくのかということで、意識革命だとか何とかいうのでしょうけれども、くれる、もらおうという感じなんですね。

 会社でも何かもらおう、余暇のほうでも何かもらおう、それがおとなのほうにも強いんでしょうか。

 井上 多分におとな側に問題があると思います。

 加藤 いまの若い人に多いというのは、ある程度うなずけるんです。何でも与える教育をしてきましたね。

 だから人生の質問をする場合にも、交番へいって道を聞くような形で質問してくるんですが、昔はそうではなかったような気がします。人生で思い悩んで、人に教えを受ける場合には、それなりにありがとうございましたといったわけです。

 それが非常に手軽なんですね。生きがいなんかも、電車に乗り換えて網棚の上にある――何かそんな感じを受けるんです。

 決してそういうものじゃないという意識みたいなものが必要ではないでしょうか。

 われわれはどうしてこんなに被害者意識をもつのでしょうか。

 戦犯なんかを見ていましても、ドイツの軍人などでは、おれが悪いんだみたいな堂々としたのが出てきますが、日本は絶対違いますね。

 軍人なんかでも、私は上から命令されたからといって、ここで弱々しくなっちゃう。歴史的にみても日本の将軍で非常にあくどいことをやった人でも、最後はお寺かなにかにこもって悔いている。そういう弱々しいものが、われわれの中にあるような気がしますね。

 それが被害者意識をもって安心してしまって妙に被害者に同情するようなところがありますよ。

 井上 戦後、アメリカからホームドラマが入ってきて、それを見ていると子供が級長になったことを素直に喜ぶわけです。

 日本人は心の中では課長になりたいのだけれども大の男が課長になりたいなんてことはいえない。心の中は別としてポーズとしてはそういうことにてんたん(ヽヽヽヽ)としていなくてはいけないというようなことがあって、卒直に私は課長になりたいとはいえない。

 加藤 それは確かにありますね。だから日本人の競争は陰湿なんですよ。はっきりそういうものが表に出ない。しかし本心はそうじゃない。


    他人との比較が幸せの尺度?
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