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わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち
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ルポ・エッセイ
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反撃のガサ入れ

『わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち』
[著]西牟田靖 [発行]PHP研究所


読了目安時間:29分
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二戸敦さん(44歳) 

義父母の家に帰省し、そのまま戻らなかった妻と子どもたち


「DV夫だとか、そういったありもしないウソを実名入りで、弁護士会や警察、子どもらが通っている保育園や役所にばらまいたりするんです。あまりにひどいんで懲戒請求をかけたら、家をガサ入れされ、夫婦で使っていたパソコンを持って行かれました」


 メディア・プロデューサーである二戸敦さんは言った。派手な業界イメージとは裏腹に、控えめで堅実な雰囲気の人である。しかも信念は強そうだし、忍耐力のありそうな雰囲気を持っている。


女子大生との結婚


「大学時代に趣味で映画を撮っていまして、就職後、脱サラして今の仕事を始めたんです。妻とはSNSで知り合いました。同棲はしていませんでしたが、週に3~4回は会っていました。もともと精神的にちょっとアップダウンが激しい子で、別れようと思ったこともあったんですが彼女の方が私の家に来るようになったんです。そのとき妻は大学4年生でして、いわゆる“できちゃった婚”。避妊薬を飲んでるって言ってたんですが、実は飲んでなかった。


 それでですね、妊娠がわかったとき、東北に住む相手の両親から彼女に、毎日のように電話がかかってきて『堕ろせ、堕ろせ』とか『実家に戻って教員を目指し、就職浪人しろ』とか、しつこく言われたようです。というのも彼女が大学を卒業した後、両親は彼女と一緒に住むことが夢だったんです。


 だからでしょう。妊娠したまま大学を卒業し、私と結婚するということを彼女が決めた途端、相手の両親からはずいぶん恨まれました。

『せっかく大学まで行かせたのに。あんたが子どもをつくったせいで娘の人生が台なしだ。娘はこっちに戻って教員になる予定だったんだ。今後、娘の面倒はあんたが見るべきだ』と電話口で怒鳴られました。そして両親は彼女への仕送りやお金の振り込みを一切やめてしまいました。そんなわけで普段の生活費などは私が渡していました。本来なら結婚するとき、女性も数年は働いていると思うので、自分で自由に使えるお金があるはずですが、彼女はそれまでバイトはしていませんでしたし、就職もできないわけです。とはいえ、彼女にお金がないのは私の責任でもあるじゃないですか。私は夫婦として平等であることが大切だと思っていましたので、私の資金の半分である500万円を彼女に自由に使っていいと言って渡しました」



 大学を卒業した年の夏、奥さんは男の子を出産する。二戸さんは、しばらく3人で暮らそうと思っていた。しかしそうはならなかった。というのも出産後、奥さんが再び身ごもったからだ。

「女の子でした。学年でいえば1つ下ですから年子ということになりますね。妻は就労経験だけじゃなくて、家事もほとんど経験がなかったので、やり方がわからない。しかも、妊娠しているのに赤ん坊を育てなきゃならない。それで生まれたら生まれたで、1歳児と新生児がひとりずつ。不安だし大変だったと思いますよ。一方、私はフリーランスで仕事を調整できるし、基本的に家で仕事をしていたので、育児や家事に融通が利くわけ。それで実際、家事や育児が回るよう仕事を選んだり、仕事の量を調節したり。ときには、私の両親に手伝ってもらったりもしました。具体的には、料理、掃除、買い物などの家事、そして赤ちゃんが起きているときの育児といったことになりますか。こうしたことは、ほとんど私がやっていました。仕事自体はセーブしてやっていて生活できるぐらいの収入をなんとか稼ぐという感じでした。


 妊娠してからというもの『体がつらい』ということで、妻はほとんど寝ていました。まだ長男も赤ちゃんですから、基本は寝ているので一緒に寝ている感じでしたね。妻は、夜9時には寝て、朝9時に起き、朝寝、昼寝をしていたので、よくそこまで寝られるなと、ある意味、感心もしました。


 私は子どもや妻が寝ている合間に仕事をしていました。寝る時間は3時間もないので、大変でした。特に下の娘が生まれてからは、長男はほとんど私が面倒を見ていました。


 正直、大変でしたが、嫌だと思ったことは一度もありませんでした。そうした生活は数年だけだと思いましたし、ジョン・レノンじゃないですが、家事や子育てに積極的に関わることで経験できることがあると思っていたからです。


 今もあの頃のことを思い出すんですが、育児は素晴らしい時間だったと思います。今でもずっと子どもの小さいときの感触は残っていますから。これは経験しないとわからないですよね」


家事をこなすも


「産後うつなのか、妻は精神状態がかなり不安定でした。子どもと一緒に添い寝をしたりなど、もっぱら寝ていることが多かったです。それでも、私も仕事がありますからね、どうしてもお昼に仕事をしないといけないときも出てくるわけ。そんなとき妻に、家事や育児をお願いするんですが、ホルモンバランスの影響もあるんでしょうか、リミッターを振り切ったように、殴りかかってきたり、爪で引っかかれたりしました。


 日中、うたた寝していたところ、TVの壁掛け用に買っていた材木で殴りかかられたときはマズかった。なんとか避けられたのでケガはしませんでしたけど。


 こんな風に妻が殴りかかってきて、私はともかく、子どもに何かあったらいけないので、殴られそうになると、まず子どものいない部屋に行くわけです。

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