『面白くて眠れなくなる解剖学』
[著]坂井建雄
[発行]PHP研究所
小腸はいい加減に収まる
お腹の壁が取り除かれた腹部の表面は、脂肪をたくさん含んだ「大網」という薄い膜で覆われています。この大網はエプロンのようなもので、上の部分は胃からぶら下がっていますが、下の部分はどこにもくっ付いていないのでペラペラしています。
大網の役目は、腹部のどこかに炎症が起きても、それが広がらないように包み込んでくれることだと考えられています。
大網をめくり上げると、小腸と大腸が見えてきますが、実際には解剖図のようにきちんとお腹に収まっているわけではないので見分けがつきません。大腸の大部分は結腸で、その特徴は結腸ヒモという縦に走るヒモが見えるため、それを手掛かりにして区別していきます。
小腸と大腸がわかったところで、小腸をぐっと持ち上げて右側に寄せてしまいます。