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(2021/11/26 追記)

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第四章 お客様の五感を刺激する経営

『臆病者の経営学』
[著]木越和夫 [発行]PHP研究所


読了目安時間:17分
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駐車場移転の危機


 少し話が前後しますが、新たな店のオープンについていきさつを述べさせてもらいます。市内の店に少しずつバスが入るようになった翌年ぐらいに、蘇洞門巡りの遊覧船の乗り場が移転するという話が持ち上がりました。もしも移転してしまうと、客引きに行けないほど距離が離れてしまいます。

 ようやく店が軌道に乗り、これからだというときに、私は苦しい選択を迫られました。

 要するに、店を新しい駐車場の近くに移転させるか、店をたたんでづくりに専念するかです。店にはある程度のなじみ客がついていたし、私自身もようやく商売の面白さ、楽しさもわかりはじめたときでした。いまさらのメーカーに戻って問屋との取引に明け暮れることを考えると、決心はすぐにつきました。

 そこで、新しい店を建てるための土地を物色しはじめました。遊覧船乗り場の移転先の近く、あるいは、小浜市を東西に横断している国道二七号線沿いの立地も考えました。前者は観光バスが集まるところ、後者は観光バスの行き来するところです。とにかく、観光バスを誘導できる立地でなければ話にならないと思っていました。

 しかし、なかなか適当な土地がみつかりません。いい場所があっても、近くには必ずほかの土産物屋さんが立地していることもわかりました。前にもお話ししたとおり、私は競争が大嫌いですから、そういう場所にお店を出す気になれませんでした。

 土地探しに奔走する日々が続くなか、私の頭の中にふと浮かんだのが、欧米が表に出して見せる文化なら、日本には人目につかないように隠してしまう文化が根づいているのではないかということでした。

 たとえば、ベッドと蒲団(ふとん)の違いです。日本人は押入れをつくって、昼間は蒲団を隠してしまいますが、アメリカ人は寝具を人目にさらしてインテリアの一つにしてしまいます。キッチンでも、フライパンや鍋、食器類を棚の中にしまいこむのが日本人ですが、アメリカ人は隠しません。

 そういう習性が日本人にあるなら、店を人目につかないところにつくっても、探してきてもらえるのではないかと、ひらめいたのです。これなら、私の大嫌いな他店との競争に巻き込まれないですみます。

 小浜の観光スポットは、蘇洞門巡りだけではありません。すでに紹介しましたが、小浜には神宮寺、明通寺、萬徳寺といった由緒ある古刹(こさつ)がたくさんあり、これらも人気スポットになっています。そこで、蘇洞門巡りのお客様にこだわるのをやめ、古刹の観賞に訪れたお客様を相手に商売したほうがいいのではないかと思うようになりました。

 港は市街地にありますが、多くの古刹は郊外にあります。山の中といってもいいでしょう。そういうところなら土地を安く借りられるという利点が魅力です。広い土地を借りれば、自前の駐車場をつくれる。そこに観光バスを誘導できれば、お客様を囲い込むことができるはずだ……。

夢を語る


 このように発想を切り替えた途端、いくつかの候補地が浮上してきました。その一つに神宮寺のそばの土地がありました。ただし、近所の人のでは、「ここの地主さんは頑固だから、絶対に貸してくれない」というものでした。
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