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臆病者の経営学
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第十章 社員をスターにする経営

『臆病者の経営学』
[著]木越和夫 [発行]PHP研究所


読了目安時間:15分
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引きこもりの男が副社長に


 神宮寺の近くに新しい店をオープンしてから、どうしても必要な、私の片腕になる男を探していたある日、家内の恩師から「ちょっと変わっているが、せいわさんで雇ってもらえないか」と、ひとりの人物を紹介されました。家内が先生と一緒にその人に会いに行くと、部屋の奥から後ろ向きに出てきたくらいの変わり者だったといいます。

 この話を聞いて、好奇心を動かされた私は、「変わっているというんやったら、俺も負けてないで」と早速会ってみることにしました。

 その男性は二十歳代半ばになっていましたが、定職につかず、家に引きこもったきりで、散髪も自分でしていたそうです。引きこもりでは、私のほうが先輩です。だから、引きこもりから救ってあげようという(ぎきよう)心もどこかにありました。

 しかし、会ってみて、直感が働きました。いまは泥を被っているが、キラキラと輝いているものがある。
「ひょっとしたら、働く気があるのでは。それに、何となくモノになるような気がする」と思ったのです。そこで、「うちで勤めてみますか」と聞いてみると、しばらく考え込んでいましたが、「考えさせてください」と小さな声で返事が返ってきました。

 それから十日ぐらいして、彼はアルバイトとして当社で勤めるようになりました。初出勤の日に、作文を書かせました。その作文を見て私は確信したのです。この男は片腕になると。まず頭がいい、知識が豊富、几帳面な字、私にはないところを持っている、私の欠点をカバーしてくれるものを持っている。何より価値観が同じだ。価値観とは「何を見て笑い」「何に怒り」「何を恥ずかしいと思い」「何に泣く」か、その思いが作文から伝わってくるのです。
「すぐやる」という私の長所には、「早まって失敗する」という反面があります。

 彼の行動は私よりはるかに遅いのですが、その分慎重です。私は自分と異質なパートナーを持つことの重要性を知っていました。本田宗一郎が藤沢武夫をパートナーにしたように。
「社長、なんであんな人を雇いはったんですか」といろんな人から聞かれましたが、私の答えは「惚れとるからや、すごいぞ、あいつは」と判で押したように決まっていました。

 それからしばらくして、彼は私の右腕となり、いまや当社の副社長兼工場長です。

 話が少し横道にそれますが、神宮寺の新しい店の売上が順調に伸びてくると、問屋依存の経営から脱却したいという思いが強くなりました。

 私はこの男に入社早々、問屋の営業を任せたのです。彼が営業担当になると、すぐに問屋から苦情が殺到しました。
「何や、あの営業は。ものはいわん、返事はせん」「もうおまえのところとは取引やめる」とさんざん怒られたのです。
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