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企業遺伝子の継承
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第3章 事業推進の革新──産業が突然死する時代の仕掛け

『企業遺伝子の継承』
[著]野口吉昭 [発行]PHP研究所


読了目安時間:33分
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時価総額を37・4倍にしたジャック・ウェルチ


 ジャック・ウェルチ……ミスターGEであり、ミスターポートフォリオである。GEの元CEOであるジャック・ウェルチは、CEOになってからの20年間でGEの売上を4・5倍に、純利益を7・1倍に、そして企業価値(時価総額)を37・4倍にした。

 では、どうやったのか?

 ジャック・ウェルチ流というのは、事業ポートフォリオ経営の徹底だ。

 PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)分析のツールを開発・活用した。縦軸が、市場の成長性(魅力度)、横軸が、相対的シェア(自社の強み)で、4象限を構成した(図表3‐1参照)。右下から、負け犬・問題児・花形・金のなる木だ。有名な分析ツールだからご存じの方も多いだろう。多くの経営者も知っているだろう。しかし、多くの企業がこの分析ツールを使いこなせていない。プロットはできるが、その後の判断・決断ができていない、といったほうがいいだろう。


 縦軸は、対象事業が成長しているかどうかを示すものだ。中心のラインは、国内市場の平均や世界市場の平均を入れればいい。2〜4%といった数字だ。

 また、横軸の中央のラインは、クープマンの目標値としての相対的安定市場という「市場ナンバー1で安定する」といわれる41・7%や市場的存在シェアという「これ以下なら撤退したほうがいい」といわれる6・8%などだ。単に、シンプルに25%、10%といった数値でもいい。ジャック・ウェルチは、ナンバー1へのこだわりから41・7%を多用したといわれている。撤退基準としての6・8%を使うのもありだ。

 ただ、業界によっては、ナンバー1でも10%を超えない市場もあるので、判断は、単純ではない。あくまで標準値・参考値と考えたらいい。

 ジャック・ウェルチは、経営者がよく使う言葉「集中と選択」を実践し続けていった。このPPMの分析ツールでGEの事業を分析し、2年という単位を設定して、シェア6・8%の見込みがない事業は、問答無用で撤退か売却。業界や市場ナンバー1企業の買収などを行なっても可能性が薄いなら見切りをつけて売却の道を選んだ。

 6・8%よりもシェアがない問題児でも、その後、買収などの可能性があってシェアを上げることができれば、事業としての魅力を感じて経営資源を注力した。

 結果、20年間でGEの事業ドメインは、大きく変わっていった。

 エジソンがつくった会社だから、スタートは電球や音響などの電機メーカーだった。その後、ケミカル、家電、エネルギー、モーター、ガスタービン、原子力発電などが加わってゼネラル・エレクトリックという総合電機メーカーとなった。

 しかし、ジャック・ウェルチはこれにメスを入れて、成長市場と考えられる医療事業、航空機エンジン、金融事業、環境事業へと軸足をシフトさせていった。

 東芝や日立が、GEと近い事業を展開し、また、集中と選択という戦略ビジネスユニットのポートフォリオを実践していったのは、GEという師匠が存在したからだ。

ポートフォリオ分析、そして選択と集中


 今、世界では、重電事業に注目が集まっている。スマート・グリッド、再生エネルギー、大量輸送システム、原子力発電などは、東芝・日立が注力する事業となっている。総合(重)電機メーカーだ。

 一方、重電事業ではなく、軽電事業ともいうべきAV事業、モバイル事業、家電事業をメインとしている総合(軽)電機メーカーであるシャープ、ソニー、パナソニックは、苦戦が続いている。

 重電事業メインの東芝、日立、三菱電機、三菱重工などは、比較的元気であり、軽電事業メインのシャープ、ソニー、パナソニック、富士通、NECなどが苦しい状況にあるのは、企業遺伝子の継承である事業推進の革新ができていないからと考えるべきだ。

 そういう中、パナソニックは、必死に「B2B」「ハウジング」「エネルギー」「エコ」に大きくシフトしようとしている。やや遅れてはいるが、事業推進の革新をはかろうとしているベクトルは合っている。

 どうだろうか。みなさんの会社は、ポートフォリオ分析とそれに基づく事業の集中と選択を戦略的に実施しているだろうか?

 多分、行なっているだろう。集中と選択は、経営者が好きな常套句だから。

 しかし、ほとんどの企業は、実践化させるタイミングが遅いし、その迫力が小さい。崖っぷちに立ってからの売却、撤退は不利な条件を飲まされるだけだ。足元を見られる。

 日本は、人本主義だからどうしても雇用を意識し、ジャック・ウェルチのように冷徹に、判断・決断できないといわれる。

 だから結果的には、元気がなくなってから、事業の価値が薄くなってから判断・決断している。明らかに、もっと早期に判断・決断すべきだったケースが多い。

 日本企業は、寿命30年(最近は20年)の話をよく知っているが、自分たちの産業や事業が、30年になっていることを意識はしていても、行動に移すことができない状況が続いている。経営者や部門のリーダーは、産業や事業のライフサイクルのことをいつも考えておかなければならない。自分たちの事業は、必ず衰退することを肝に銘じておくべきなのだ。

 栄枯盛衰というライフサイクルの必然を前提にした経営をリーダーはしなければならない。企業遺伝子の継承の必須条件は、まずは、仕掛けとしての恒常的な事業推進の革新にある。

 リーダーたちにとって、自分たちの事業ドメインの変革は、次世代へのバトンタッチとして中心的ミッションであるべきなのだ。

ガラパゴス化した日本企業の惨状


 シャープのグローバルでの液晶シェアは、2001年で80・5%もあった。しかし、サムスンとLGの猛追があり、2005年では10%に落ち、2011年には6%に落ちている。自己資本比率も2010年には日本の大企業のほぼ平均にあたる37%あったものが、2013年には6%にまで落ち込み、ご存じのとおり存亡の危機を迎えている。
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