『国語は語彙力! 受験に勝つ言葉の増やし方』
[著]齋藤孝
[発行]PHP研究所
国語を得意科目にする近道
「国語って、いったいどう勉強すればいいんだろう?」
そんなふうに途方に暮れている人も多いと思います。
国語は、英語や数学などと違い、何をすればできるようになるのかがわかりにくい科目です。そのため、高校や大学の入学試験では悩みの種になりがちです。
なぜ、国語はそれほど厄介なのでしょうか。そもそも、日本語は子どものころからずっと使ってきているものなので、だれもがある程度はできます。たとえて言えば、子どものころから歩くことができるのと同じです。
しかし、普通に歩くことができる人でも、競歩となるとどうでしょう。競歩にはルールがあって、きちんと練習しないとできません。同じように、日本語が使えるだけでは、国語の試験で高得点をあげることはできません。にもかかわらず、そのギャップになかなか気づかないのです。
また、国語の試験では、毎回、見たことのない文章が問題文として出てきます。数学なら、応用問題といっても基本問題にアレンジを加えたものですが、国語は試験のたびに、まったく違う著者の、まったく違う文章に向き合わなければなりません。
さらに、問題文の読解に加えて、出題者の意図を読み取ることも求められます。たとえば、ある著者の文章について、「間違っている解釈を選びなさい」という問題があった場合を考えてみましょう。
その問題を出した人が、どれを間違いだと考えているのか。
どれを間違いといわせたいのか。
つまり、出題者の気持ちを推測できないと正答することができません。国語の読解問題は、自分と問題文の著者、そのあいだにいる出題者という三者の関係のなかで答えを探る必要があるのです。
そんな厄介な国語の点数を上げる、もっとも手っ取り早い方法をお教えしましょう。それは知っている言葉の量、つまり「語彙」を増やすことです。
このことは、英語の場合で考えてみるとわかりやすいと思います。知らない単語ばかりが並んでいる英文は、どうがんばっても読むことはできません。