『国語は語彙力! 受験に勝つ言葉の増やし方』
[著]齋藤孝
[発行]PHP研究所
覚えておきたい四字熟語50
暗中模索
手がかりもなく、あれこれとやってみること。「模索」は手探りで探すこと。暗闇のなか、手探りでものを探すという意味から。
異口同音
多くの人が口をそろえて同じように言うこと。大勢の意見が一致すること。「異口」はいろいろな人の口、「同音」は同じことを言うこと。「異句同音」は誤り。
以心伝心
言葉に出さなくても、互いの心が通じ合うこと。深い教えを弟子に伝えるうえで大事なことは「心を以って心に伝える」ことだという仏教(禅宗)の言葉から。
一意専心
わき目もふらず、ただ一つのことに集中すること。「一意」と「専心」はいずれも、心を一つのことに集中させることを意味し、重ねることで強調している。
一期一会
一生にただ一度の貴重な出会いのこと。茶道の心得から出た言葉で、どの茶会も一生に一度の機会だと思って心を込めて行うべき、という戒めから。
一日千秋
非常に待ち遠しい様子。「千秋」とは千年のこと。待ち焦がれていると、一日が千年もの長い時間に感じられる、という意味。
一網打尽
悪者の一味などを一度に残らず捕らえること。一度打った網で、そこに群れていた魚を獲りつくす、という意味から。
一朝一夕
ひと朝か、ひと晩かというほどの、わずかな日時、短い時間のこと。「一朝一夕にできるものではない」というふうに、下に打ち消しの言葉をつけて使う。
一刀両断
きっぱりと思い切った処理をすること。「一刀」は刀のひと振り、「両断」は二つに切ること。ひと太刀でものを真っ二つにすることから。南宋の儒学者、朱子の言葉。
意味深長
言葉や行動の裏に、別の深い意味が隠れている様子。「深長」は奥が深く含みが多いこと。
右往左往
どうしていいかわからず、あわてふためいてうろうろすること。右へ行ったり、左へ行ったりすることから。
温故知新
過去のことをよく研究し、そこから新しい知識や意義を見つけ出すこと。「故きを温ねて新しきを知る」という『論語』の言葉から。
画竜点睛
物事を立派に完成させるための最後の仕上げ。古代中国の画家が寺の壁に竜を描き、睛を書き込むと竜が本物となって天に昇ったという話から。「画竜点睛を欠く」のかたちで使うことが多い。
危機一髪
きわめて危険な状態に追い込まれていること。髪の毛一本ほどのわずかな差で危険が迫りくるような、危ない状態という意味から。「危機一発」は誤り。
起死回生
だめになりそうなものを立ち直らせること。「起死」と「回生」はいずれも、死にかかっている人を生き返らせること。
疑心暗鬼
疑い出すと何でもないことまで疑わしくなってくること。「疑心暗鬼を生ず」の略で、疑いの心があると、いるはずがないのに暗がりのなかに鬼がいるように思えてくる、という意味から。
玉石混淆
優れたものとつまらないものが入り混じっていること。「玉石」とは、宝石と石ころのこと。「混淆」は、入り混じっていること。
捲土重来
一度失敗した者が、ふたたび勢力を取り戻して形勢を巻き返すこと。「捲土」は、土や砂ぼこりを巻き上げることで、それほどの凄まじい勢いでふたたびやってくるという意味から。
荒唐無稽
言動がでたらめで、根拠がないこと。「荒唐」と「無稽」はいずれも、よりどころがなく、でたらめなこと。
呉越同舟
仲の悪い者どうしが同じ場所に居合わせること。「呉」と「越」という敵対していた二つの国の人が同じ舟に乗り合わせたが、舟が暴風で転覆しそうになったときは互いに助け合ったという中国の故事から。
孤軍奮闘
助けもなしに、一人で懸命に努力すること。「孤軍」は孤立した少人数の軍隊。援軍のない孤立した状況で、敵と必死に戦うこと。
五里霧中
見通しがつかず、どうしてよいかわからないこと。古代中国で張楷という人が秘術を使って五里四方にわたって霧を発生させ、そのなかではだれも方角がわからなくなったという故事から。
言語道断
話にもならないこと。もってのほかのこと。「道」は「言う」または「方法」のことで、言語で表現する方法が断たれているほどひどいという意味。
四苦八苦
非常に苦労すること。このうえなくひどい苦しみ。人が避けることのできない生老病死の四つの苦しみに、「愛別離苦」「怨憎会苦」「求不得苦」「五陰盛苦」の四苦を合わせた仏教語から。
自業自得
自分がした行いの報いを、自分で受けること。もとは仏教の言葉で、「自業」は自分の行い、「自得」は自身に受けること。
縦横無尽
物事を思う存分やること。「縦横」は四方八方のこと。「無尽」は限りがないこと。
順風満帆
物事が思いどおり順調に進んでいる様子。「順風」は追い風のことで、帆いっぱいに順風を受けて舟が進むことから。
心機一転
あるきっかけから、心の持ち方がすっかり変わること。「心機」は心の動きのこと。普通、よい方向に気持ちが変わる場合に使う。