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「逆考」のすすめ
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生き方・教養
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まえがき

『「逆考」のすすめ』
[著]山崎武也 [発行]PHP研究所


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 私たちは「学ぶ」ことによって、生きていく(すべ)を身につけてきた。学ぶことの中心は、同じ語源の「まねぶ」、すなわち真似をすることである。この世に生まれ出てからずっと、人の真似をしてきた。まずは親などの周囲にいる人たちの教えるとおりにしたり、言動を見て覚えたりしたのだ。

 ところが、二歳、三歳ごろになると、親のいうことに従わないで、反抗をするようになる。それまでに教えられたことに対して疑問を抱き、自分自身で考えて自己主張をする。この時期は反抗期といわれているが、小さい子供ながら自我意識に目覚めたからである。

 してはいけないといわれると、逆にそれをしようとする。既成の行動様式や考え方に、やみくもに追従しないで、自分の自主性を発揮しようとする。幼児の力には限度があるので、最後には大人のいうとおりにせざるをえなくなる。また、そのほうが親や周囲の人たちからの愛情や援助が確保できることを悟るからでもある。「長い物には巻かれろ」としておくのが無難である、という人生の知恵も働いている。

 青年期に入ると同じようなことが起こる。第二反抗期である。親や教師など指導的な立場にある大人や、社会の仕組みなどに対して拒否的な姿勢を示す。権威的なものは、人にせよシステムにせよ、自分をコントロールして縛りつけようとしていると感じるので、敢然として拒否したり打ち破ったりしようとする。

 このような二つの典型的な反抗期において真剣に悩み、どこまで自我を貫くことができるかを模索する。これを上手に乗り越えたとき、人間としての飛躍的な成長が約束される。オールラウンドな知力が身につき、バランスの取れた社会性の発展が見られるようになる。反抗する段階を経ることによって、一段と高い次元へと上っていくことができるのだ。

 ところが、大人になり切ったときはどうであろうか。権威に対しては唯々諾々(いいだくだく)と従い、力のあるものに対してはこびへつらい、世の流れに対してはただ遅れまいとしてついていっているだけではないのか。それでは、自主性もなければ自我の意識もない。

 大人にも時どき反抗期の精神を取り戻す必要があるのではないか。世の中の動きや自分自身の周囲をつぶさに観察してみる。そのうえで、疑問を抱いてみる。その出発点は、目の前の事実や現象について、その逆を考えてみることである。

 表からだけではなく裏からも、前からだけではなく後ろからも、右からだけではなく左からも、さらには上からだけではなく下からもと、視点を変えて見たり考えたりしていく。それは批判的精神の発揮でもある。そのようにしていれば、世の悪い流れに押し流されることもなければ、自分が間違った方向に進んでいくこともない。

 多数派に(くみ)するのは簡単であるし、一見したところは、そのほうが安全なようでもある。だが、それでは皆で悪くなっていく危険性がある。もちろん、自主的な判断をしたうえでのことであるが、少数派に属する勇気も必要である。たとえ、その少数派が自分一人であったとしても。

 一つの主張に対して、それを否定する主張をするアンチテーゼは、次なる発展や向上への契機となると同時に、バランスを失しないための安全弁の役目も果たす。逆思考をする効果は大いに期待できるのではないだろうか。


 本書の出版に当たっては、PHP研究所の大久保龍也氏と佐々木賢治氏から多大の力添えをいただいた。ここに深謝の意を表する。


 二〇一〇年四月
武也 
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