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異次元緩和に「出口」なし! 日銀危機に備えよ
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経済・金融
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第2章 異次元緩和に「出口」なし。いよいよ日銀倒産の危機到来!

『異次元緩和に「出口」なし! 日銀危機に備えよ』
[著]藤巻健史 [発行]PHP研究所


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黒田総裁が示した二つの「出口」は、いずれも危険極まりない



 第1章でも述べたように、異次元の質的・量的金融緩和は()()貧(=デフレ)から脱却しようとして()()貧(=ハイパーインフレ)を招く誤った政策だというのが、私の主張です。


 ハイパーインフレを起こさないためには、一刻も早く、異次元緩和を「出口」に向かわせなくてはなりませんが、私にはその有効かつ実現可能な方法が思い浮かびません。


 そこで、参議院の財政金融委員会では何度となく、日銀の黒田東彦総裁に出口について聞いてきました。そしてついに今年の三月二十一日、二十二日の財政金融委員会で、黒田総裁と岩田規久男副総裁がともに出口の方法に触れたのです。


 三月二十一日の財政金融委員会で、私は岩田副総裁に以下の趣旨の質問をしました。

「今の日銀はデフレを脱却しようと、まさに車のアクセルを思いっ切り踏み込んでいる状態だ。しかしこの車にはブレーキがないように思える。ブレーキはついているのか? 景気が過熱した時、伝統的金融政策時代には、市中金利を引き上げる誘導手段を持っていたが、今の日銀は持っているのか?」


 これに対し岩田副総裁は、「金利を上げる手段は大きく分けて二つある。一つは、日銀当座預金に対して付利金利を上げていく方法。もう一つは、売りオペによってバランスシートを縮小していく方法だ」とお答えになりました。


 翌二十二日には、黒田総裁も「物価上昇率が上がっていく際には、日本銀行当座預金の付利金利の引き上げ、あるいは拡大したマネタリーベースの回収が必要となる」と、岩田副総裁と同様の回答をされたのです。



 お二人が述べた方法を整理すると次の二つです。


 一つは、「日銀当座預金の付利金利を上げていく」こと。もう一つは、「国債の売りオペによって、日銀のバランスシートを縮小していく」こと。


 この二つの方法は、私が「理論的にはこの方法しか考えられないが、この方法では日銀が倒産の憂き目にあったり、長期金利が数十%に暴騰するから実行不可能だ」と言ってきた方法そのものです。


 にもかかわらず、それらを出口だと言うことは、日銀自らが「出口がない(=インフレが始まったら、制御の方法がない)」ことを認めたようなものです。



 日銀の原田(ゆたか)審議委員は二〇一七年六月一日、岐阜市内で講演し、異次元緩和からの出口に関し、「日銀が長期的に損失を負うことによる危険など存在しない」と述べました。これを日経新聞は、同日の夕刊で「日銀出口戦略『危険ない』」との見出しで報道していました。私は、「危険極まりない」の「極まり」をミスで落としてしまったのか?と思ってしまいました。これは笑い話でもなんでもなく、黒田総裁たちが示した出口戦略は、本当に危険極まりないのです。


 なぜ、「日銀当座預金の付利金利を上げること」と「国債の売りオペによって、日銀のバランスシートを縮小すること」は極めて危険で、実行不可能なのか。本章ではこの点について、できる限りわかりやすく解説したいと思います。


アメリカが現在進めている出口戦略とは?



 実はこの二つは、アメリカのFRBが量的緩和からの出口で使用すると明示している方法です。そう聞けば、異次元緩和の出口としても妥当な方法のように思えるかもしれません。


 しかし、それは大きな誤解です。アメリカの場合は、この二つの方法で量的緩和を出口に向かわせることができるかもしれませんが、日本の場合は事情がまったく違うのです。


 それではまず、「アメリカがいかにして量的緩和を出口に向かわせようとしているか」を見ていきましょう。



 FRBはすでに「FRBの当座預金への付利金利を引き上げる」という方法で、二〇一五年十二月、二〇一六年十二月、二〇一七年三月と六月の計四回の利上げを実施しています。さらに二〇一七年はもう一回、二〇一八年には三回、二〇一九年にも三回の利上げを自ら予想しています。


 またバランスシートの縮小に関しても、六月十四日に公表したFOMC(米連邦公開市場委員会)の声明では「年内に着手する」と記し、FRBのイエレン議長は「比較的早く」という言い回しで「早期縮小」まで匂わせました。


 FRBはテーパリングを完了(=これ以上バランスシートの規模を大きくしないこと)してから、しばらくはバランスシートを一定に保っていたのですが、いよいよ縮小に着手するのです。



 ここで、「テーパリング」について説明しておきましょう。次の図はテーパリングを自動車のスピードで表わしたものです。



 時速二〇〓で走っていた車が、次の一時間では時速五〇〓と三〇〓加速しています。その後の一時間では同じように毎時三〇〓加速して時速八〇〓となっていますから、すごい加速ぶりです。


 しかし、その後は毎時二五〓、二〇〓、一五〓、一〇〓と加速の度合いを緩めていき(この段階がテーパリング)、時速一五〇〓の時点でもうそれ以上は加速をするのをやめています。この加速をやめた状態が「テーパリングの完了」です。


 しかし、加速をやめたといっても、時速一五〇〓という高速運転は続いています。これが二〇一七年六月末現在のFRBのスタンスであり、金融で言えば高レベルの金融緩和が続いているということです。


 FRBがテーパリングを完了した時、多くの識者やマスコミが「量的緩和をやめた」と誤解していたように見受けられましたが、この図を見ればおわかりのように、二〇一七年六月末現在で言えば、テーパリングを完了しただけであり、量的緩和はまったく終わっていません。


 テーパリングの開始は出口の始まりですが、金融引き締めではありません。あくまでも大規模な金融緩和の継続です。バランスシートの縮小を始めて、初めて量的緩和からの撤退開始と言えます。



 FRBはテーパリング完了後、保有国債の満期(償還期限)が来ると、その満期債券と同額の新規国債を購入していました。そうすることによってバランスシートの規模は一定に維持されていたのです。それが年内にバランスシートの縮小を開始すると公言しました。時速一五〇〓で走っていた車の減速を始めるということです。



 もっとも、縮小と言ってもFRBは極めて慎重な態度を表明しています。


 バランスシートの縮小には、大きく二つの方法があります。一つは保有している国債を売却すること、すなわち「売りオペ」を行うことです。そしてもう一つは、保有国債の満期が来ても新しい国債を購入せず、それによって満期が来た分だけバランスシートを縮小させていく「満期待ち」という方法です。


 FRBも日銀と同様に、短期国債ではなく、長期国債を多く買ってしまったため、保有国債の満期はなかなかやってきません。したがって、より早くバランスシートを縮小させたければ「売りオペ」のほうを選択すべきなのですが、FRBが縮小の方法としてまず採用すると明言しているのは「満期待ち」のほうです。


 なぜここまで慎重かというと、これまで大口の買い手だったプレイヤーが売り手にまわったら、どんなマーケットでも大混乱に陥ってしまうからです。国債に関しては、FRBは全体の約一〇%を購入しています。一〇%というのは、かなり大口の買い手です。その買い手が「国債を売却していく」と表明すれば、市場に衝撃が走るのは当然です。


 したがってFRBは、バランスシート縮小に関しては、まずは「満期待ち」という穏健な方法を取らざるを得ないのです。


FRBにはできても、日銀にはできない



 このように、アメリカでもバランスシートの縮小に苦慮しているわけですが、この状況を見て、日本はバランスシートの縮小ができると思う人はいないでしょう。事実、国債を売却することなど到底できません。市場に与える影響が大きすぎるからです。


 先ほど、アメリカのFRBは市場に出回っている国債の一〇%を買っている大口の買い手と言いましたが、日銀に至っては八〇%を買っている超がつく大口の買い手なのです。その買い手が「国債を売却する」などと言い出したらどうなるかと言えば、国債価格は間違いなく暴落します。


 また米国債の場合は、日本政府や中国政府のほか、数多くの買い手がいますから、売却先を見つけるのにさほど苦労はしませんが、日本国債の場合、外国人購入者は約一〇%にすぎません。国内の買い手も今は日銀のみと言っていい状態です。

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