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異次元緩和に「出口」なし! 日銀危機に備えよ
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経済・金融
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第3章 シムズ理論、統合政府論……世にはびこる楽観論を斬る!

『異次元緩和に「出口」なし! 日銀危機に備えよ』
[著]藤巻健史 [発行]PHP研究所


読了目安時間:25分
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「さらに借金を増やせ」と主張する理解不能な人たち



 異次元の質的・量的金融緩和は安倍政権と日銀の大失策であり、国民に何の負担も強いることなく安全に終えられるような出口はない──。そのことは、第2章の解説でご理解いただけたと思います。それは、私だけが言っていることではなく、まともな識者が口を揃えて主張していることであり、少し経済を知っている人なら誰でも納得がいくような話です。



 にもかかわらず、一部の識者からは、「異次元緩和は、フジマキが言うような悲惨な結果は招かない。うまくいくから心配ない」というような意見が聞かれます。


 それどころか最近では、積極的な金融緩和で緩やかな物価上昇を促すという考え方の「リフレ派」と呼ばれる人たちが、今度は公共投資などの財政出動を求め始めています。


 これは、異次元緩和の成果があがらなくなってきたからだと言われています。参議院の本会議、予算委員会でも財政出動論を主張する議員が出てきました。二〇一七年五月六日の朝日新聞には「積極財政、首相に進言次々」という見出しの記事があり、「安倍晋三首相の周辺では、景気刺激のため、国の借金を気にせず財政出動をするよう進言する動きが出つつある」とありました。


 借金がこれだけ膨大になっているというのに、「そんなこと気にせず、さらに借金をせよ」と言っているわけです。正気の沙汰とは思えません。


 こうしたとんでもない主張の拠り所となっているのが、最近話題の「シムズ理論」や「統合政府論」です。しかし、いずれの理論も信用するに足りない理論であり、騙されてはいけない、というのが私の見解です。


 第3章では、シムズ理論や統合政府論を中心に、世にはびこるさまざまな楽観論について検証していきたいと思います。



 まず、シムズ理論とは、ノーベル賞経済学者で、米・プリンストン大学教授のクリストファー・シムズ氏が提唱した理論です。


 政府の経済ブレーンの浜田宏一イェール大学名誉教授が、「目からウロコが落ちた」と持ち上げたことから、にわかに脚光を浴び始めました。


 異次元緩和を続けても、いつまでたっても消費者物価指数(CPI)の上昇率二%が達成されず、リフレ派の人たちが焦って「シムズ理論」に飛びついたのだと私は思っています。



 しかし、シムズ理論は、もうめちゃくちゃとしか言いようがありません。簡単に言ってしまえば、「財政を悪くすることで、故意に悪性インフレを起こして、借金を減らす」という方法だからです。金融政策の誤りの結果で起きる悪性インフレを、政策として起こそうというのです。


 タクシー初乗りが一兆円になるハイパーインフレが来れば、一〇七一兆円(二〇一七年三月末)の累積赤字は、実質、取るに足りない数字となります。その意味で「究極の財政再建策」ではありますが、国民生活は地獄に堕ちるでしょう。


 すでに世界に冠たる財政赤字なのに、さらに財政赤字を大きくしようというのですから恐れ入ります。「財政出動をすれば、いずれインフレが起きる」という財政出動派には都合のいい理論です。緩やかなインフレで収まるのなら、今現在考えられる唯一の財政再建策でしょうが、ここまで財政が悪化し、日銀がメタボでブレーキを失った以上、ハイパーインフレまっしぐらの政策です。後に述べる骨太の方針での新指標発表と相まって、さらなる財政出動の根回しをしているようで不気味です。こんなことをしたら、ハイパーインフレで国民生活は悲惨もいいところになってしまうと思います。



 私はデフレ脱却のための異次元緩和は、「()()貧(=デフレ)を回避しようとして()()貧(=ハイパーインフレ)に陥る」からやってはいけないと、ずっと反対してきました。間違っていただきたくないのは、ハイパーインフレを政策としていたのではない点です。巷で「フジマキはハイパーインフレで財政を再建しようとしている」という話が一時、飛び交っていたようです。冗談じゃありません。異次元緩和を導入すると、国民にとって最悪のハイパーインフレが起きてしまうぞ、と警告していたのです。


 ところが、さらなる財政出動を主張する人は、私が「回避すべき」としてきた「ハイパーインフレ」という結果を、政策として意図的につくり出そうというのですからひどい話です。


荒唐無稽な「シムズ理論」に騙されるな!



 間違っても、「シムズ理論に基づく」財政出動政策が発動されないように、二〇一七年三月二十二日の参議院の財政金融委員会の場で、私は日銀の黒田総裁にシムズ理論に対する見解をお聞きしました。

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