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光と影を映す だからドラマはおもしろい
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エンタメ
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第三章 家族を描く

『光と影を映す だからドラマはおもしろい』
[著]山田太一 [発行]PHP研究所


読了目安時間:16分
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  ───『男たちの旅路』が始まった翌年の一九七七年に、いまやこれなしには山田さんを語りえないといわれる『岸辺のアルバム』が放送されました。あのドラマはどうして生まれたのでしょうか。



 ホームドラマというのは、みんなが快く見られる、人生(こう)(てい)的なものが多いですよね。もちろん、ぼくも(こう)(てい)的に書くつもりはあるんですが、ただ(こう)(てい)ばかりでは、やはり(あさ)はかになってしまいます。


 そのへんの世間話を快くドラマにしただけでは、ドラマのかいがないというか……。それで、もっと人間の内面を書けないだろうかと思っていたんです。それも犯罪をテーマにせずに。


 犯罪ものは、「こんなにぎりぎりまで()(まん)したんだ。だから殺したんだ」と、内面を書きやすい。でも、世の中にはぎりぎりでも()(まん)している人のほうが多くて、みんなぎりぎりまでいっても人を殺したりはしないわけです。つまり、犯罪ものはわかりやすいけれど、実態を(のが)しているという気持ちがあったんですね。


 それで、()(つう)の家庭だけれど、じつは家族みんなが(ちが)(くら)(やみ)や自我、エロスをもっている、そういうドラマを書けないかなと思っていました。



  ───登場するのは、()(つう)のどこにもありそうな東京(こう)(がい)の家庭ですよね。



 はい。お(たが)いの内面がどんどんどんどんわかってきてしまう家族を書きたいと思ったんです。それに、戦後の日本が(かく)(とく)したいろいろなもの……大学に行くことがそれほどめずらしいことではなくなったとか、アメリカ人とつきあうことも、一戸建てをもつこともめずらしくなくなった。そうしたプラス面と、それにともなってどんなマイナス面があるかということを、ある家族をシンボルに使って書いてみようと思いました。



  ───『岸辺のアルバム』は一九七四年に起きた東京・()()(がわ)の水害をモチーフにされていますね。



 それを見て、「あっ、この水害のシーンを最後にもっていって、ある家族を書いてみよう」と思ったんです。その(ころ)、戦後の(おり)のようなものがだんだんたまってきていました。


 だから、あるところでは「このままずっと行くのか? これはなんとかならないのか? 何か大きなことが起きて、ご破算にして一から出直せないのか?」とも感じていました。



  ───日本は大きな戦争ですべてがなくなったところから、新たな構築がされてきましたよね。



 ええ、構築したのですが、それによるマイナスの部分もいろいろありました。たとえば、子供が苦労を知らないとかね。昔は「戦争中は……」などと語って聞かせていたのに、いつのまにか「もうそんなこと言わないで」と言われるようになった。

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