映画でも演劇でもなくて、とても不思議な気分にさせてくれるのが人形劇だ。六本木の俳優座に、人形劇団ひとみ座の創立四十周年記念公演「ふしぎの国のアリス」を観に行った。ひとみ座といえば、一九四八年に鎌倉で創立されて以来、NHKの「ブーフーウー」(黒柳徹子が声優をやっていた三匹の子豚の物語)「ひょっこりひょうたん島」「笛吹童子」「紅孔雀」「舟乗りクプクプの冒険」などで有名な人形劇団の名門である。代表の須田輪太郎氏は、「子供たちのための芸術だからこそ、それは最高のものであらねばならない」というS・マルシャークの言葉を信条に、日本の子供たちに夢を与えてきた。