話題のグルメ映画「バベットの晩餐会」に出てくるフランス料理のフルコースを食べた。「バベットの晩餐会」は一九八七年度アカデミー賞外国語映画賞を受賞したデンマーク映画で、デンマークの女流作家アイザック・ディネーセンの短編が原作となっている。
十九世紀後半、デンマーク海辺の寒村で初老の二人の姉妹に使える女中バベットが主人公だ。厳格なプロテスタントの牧師の娘である姉妹のもとへフランス女性のバベットがやって来たのは嵐の夜。彼女は一八七一年のパリ・コミューンで家族を失い、母国を捨てて逃げてきたのだ。それから十四年後、バベットは毎年フランスの友人に買ってもらっていた宝くじで一万フランが当たり、その金で姉妹の亡父である牧師の生誕百年の祝いに、村人たちにフランス料理をごちそうしたいと申し出る。実は、彼女はパリの最高級レストラン、カフェ・アングレの女性シェフだったのである。バベットの申し出を快諾した姉妹も、パリから届いた料理の材料を見て震え上がる。