一九八八年ほど、日本のホテル界が激動した年も珍しい。後世に日本ホテル史をまとめる時、必ず特筆すべき一年となるだろう。
何が激動だったかというと、まずサービス経済へのシフトにともなって、おびただしい数のホテルが建てられた。これは前年からつづいた流れであり、一九八七年末には四〇〇〇ホテル・三〇万室時代が到来して、ホテル産業の成長に弾みがついた。一九八八年はまさにホテル元年としてスタートしたのである。円高と長期の超金融緩慢がもたらす不動産運用として、地域の再開発の目玉として、また、モノからサービス、ハードからハートへとシフトする産業環境の中での多角的投資の対象として、様々な他産業がホテルに参入した。
セゾングループのインターコンチネンタル買収もビッグニュースだった。そして、年末のいわゆる自粛ブームも日本のホテル界にとって忘れられない事件である。自粛が一番ダイレクトに影響した産業がホテルであり、一時はかなり深刻な事態となった。
しかし、一九八八年の最大の話題といえば、やはり舞浜リゾートの誕生であろう。