『カラー写真・決定版 第二次世界大戦「戦闘機」列伝』
[著]三野正洋
[発行]PHP研究所
人間という生き物は、皆それぞれの趣味、いろいろな生き甲斐を持っている。寒気厳しい雪山を目指す、休日のピアノの弾き語り、良き友人と将棋盤を囲む、静かな入り江に釣り糸を垂れるなど、それらは数限りなく存在する。
筆者の場合は、半世紀以上前から第二次大戦に参加した航空機についてその歴史を調べ、写真を撮り、機会があれば搭乗することであった。
幸運にも大学で教鞭をとるという職業柄、海外出張も多く、そのおりウォーバーズを求めて博物館を巡り、エアショーを見る機会は少なくなかった。
その意味から本書は、これまでの集大成と言うこともできる。
筆者と同じような趣味を持っている方々は、最近の航空写真ブームによってもわかるとおり少なくないと思われる。執筆にあたっては、素晴らしい金属の鳥たちの姿をできるだけ多く載せると同時に、飛行機ファン各位がそれらに「出合う、撮影する、体験搭乗する」ことができるよう、いろいろな情報を記載した。
もちろん仕事の都合、あるいは金銭的な問題もあろうが、人生の価値とはどれだけ自身の生き甲斐を満足させ得るか、といったところにあると思う。
本書を参考にぜひウォーバーズを見るために、海外に足を延ばしていただきたい。なにしろここに掲げた写真のごとく、晴れ渡った大空のもとメッサーとスピットの(模擬)ドッグファイトさえ見ることができるのだから……。
最後に、この拙著はPHP研究所のM氏とのおしゃべりの中から、少しずつ形になっていった。自分自身の撮影した写真を多用し、また知識を文章として、一冊の本を作るということは、望外の喜びである。この実現に多大なご協力をいただいた、同社文庫出版部の方々に心からの感謝を伝えたい。
なお本書を脱稿したひと月あとには、バーズを追ってアメリカに飛び立つ予定である。
三野正洋
注記:言うまでもなく本書の写真の大部分は、筆者自身が撮影したものである。
しかし何枚かは、古くからの友人の撮影で、あらかじめ使用する了解をいただいている。もしこれら以外に漏れがあった場合、編集部あてにご連絡いただきたい。数十年前に、二、三の方と写真を交換し合った記憶があって、その折のものが使われている可能性が考えられるからである。
写真提供者
牛山泉氏(前足利工業大学学長)
金岡充晃氏(CSPジャパン 宇宙技術者)