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「うつ」を治す
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「うつ病」と「うつ状態」は区別できない

『「うつ」を治す』
[著]大野裕 [発行]PHP研究所


読了目安時間:3分
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 この章ではまず、うつ病はどのような病気なのかということを、説明していくことにしましょう。「うつ」の患者さんに対しては、うつ病、うつ状態、抑うつ状態といったさまざまな言い方がされます。そのために、「うつ病」と「うつ状態」と何が違うんだろうと疑問に思う人が少なくありません。
「うつ状態」と「抑うつ状態」というのは同じ意味で使われます。気持ちが沈み込んだ状態を表現する言葉です。ですから、うつ病の患者さんでなくても、気分が沈み込んでいれば「うつ状態」という言葉が使われます。自分の世界に入り込んでしまって現実とうまく関われなくなる精神分裂病にかかっている人が、自分の病気に対して悲観的になって気持ちが落ち込むようなことがあれば、精神分裂病の「うつ状態」というふうに表現しますし、不安のために日常的な生活に支障をきたすような不安障害の人が、自信をなくしてふさぎ込んでいれば不安障害の「うつ状態」と表現します。

 そうした精神的な問題を感じていない人が日常的な出来事のために落ち込んでいる場合にも、またうつ病の症状として抑うつ感を体験している場合にも、「うつ状態」という言葉は使われます。つまり、「うつ状態」というのはうつ病よりも広い概念なのです。

 一方、うつ病は、「うつ状態」が症状の中心になっている場合に使われる用語です。その細かい定義についてはあとで詳しく説明しますが、「抑うつ気分」や「興味や楽しみの喪失」のためにひじょうに苦しい思いをしたり、生活に支障が生じたりした場合にうつ「病」という表現が使われるのです。

 最近の研究では、日常的な軽い落ち込みと、うつ病と呼ばれるほどの深刻な落ち込みとをはっきり区別することはできないと考えられるようになっています。これは双生児研究の第一人者であるロバート・プロミンによる研究で、双生児を対象にした遺伝研究において、軽い落ち込みからうつ病と言われる状態までの症状の強さは連続的に変化していて、いわゆる「正常」と「異常」をはっきりとわけることはできなかったと言います。うつ状態は薬で改善させることができる脳機能の変調という意味では病気なのですが、生活に支障が出てきているかどうかでうつ「病」かどうかが決まるという意味では病気とも言い切れません。

 このことは、うつについて、血圧や熱のように問題のない状態から連続線上で考えていって、あるところまで来れば医学的な介入が必要な状態になるものと考えるのが妥当だということを意味しています。これは、従来のうつ病の診断を根本から問い直す知見です。

 こうしたことから、この本のタイトルを『「うつ病」を治す』ではなく、『「うつ」を治す』としました。うつ病の治療は、気持ちが沈み込んではいても、うつ「病」と呼ばれるほどには支障がでていない多くの人にも役に立つからです。

 なお、うつ病の精神医学的な診断や分類については第2章で詳しく説明することにします。

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