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日米関係の危機
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政治・社会
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3.ブッシュに見下されたソ連――衰退したソ連に対決の力はない

『日米関係の危機』
[著]日高義樹 [発行]PHP研究所


読了目安時間:19分
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 民族主義の動きは誰も抑えられない

 ソビエトがサダム・フセインを助けるために動きはじめたとき、ホワイトハウス保守派の反応はまず「二重の裏切り」という憤激であった。

 ペレストロイカで助けを求めながら、バルト三国を弾圧した裏切りに次いで、今度はアメリカの「中東における新しい秩序づくり」に首をつっこんできたと怒ったのである。

 しかしながらゴルバチョフ側の動きは、アメリカとのあいだに新しいバランスを求めたものでも、中東の秩序づくりに首をつっこんだものでもなかった。きわめて不安定な地域であるソビエト南西部と至近距離にある中東を、あまりアメリカの力で蹂躪(じゆうりん)されたくない、トルコやイランが強くなりすぎても困ると考え、むしろ受け身の立場からやむにやまれず出てきたのである。

 ブッシュ大統領は、そのようなソビエトの立場を正確に把握していた。したがって、保守派の「二重の裏切り」という主張を一笑に付したのである。ブッシュ大統領は、ゴルバチョフ大統領がイラク問題を切り札にアメリカに挑戦してくることはありえないと考えた。そのような力がソビエトに残っているはずはないと見切っているからである。

 もともとブッシュ大統領は、ソビエトは、本格的な内乱の一歩手前で、ソビエトという国がなくなってしまうのではないかと心配している。ここであまりゴルバチョフ大統領を痛めつけるとソビエトの内乱を早めることになると懸念し、ゴルバチョフ大統領の面子をたてて、とりあえずソビエト軍部をなだめるほうが得策だと考えたのである。

 もちろんソビエトが調停案をホワイトハウスに伝えたとき、アメリカ側はゴルバチョフ大統領が軍やKGBの圧力で、アメリカと敵対する側に立つ気になったのかどうかを慎重に検討した。その結果、「敵対する側になったのではない」という結論を出したのである。

 これはブッシュ大統領の対ソビエト観にもとづいており、たぶん、歴史的にみても正しい結論であろう。

 ブッシュ大統領はそれよりも、ゴルバチョフ大統領が統治能力を完全に失い、ソビエト国内に本格的な内乱が起きて、やがてはソビエト連邦が徹底的に崩壊してしまうのではないかと考えている。「そうなった場合、野放しになる核兵器や生物兵器はいったいどうなるのか」というのが、ブッシュ政権のもっとも恐れている問題なのである。
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