夫婦の間に何かしらの問題が起きたとき、それが離婚を考えるまでもない程度のことなら、きっとあなたは親しい友人や実家のお母様などに、
「ねぇ、ちょっと聞いてくれる? うちのダンナったら○○で、もうイヤになっちゃう!」
と、美味しいケーキとお茶を前にしてグチのひとつもこぼせば、それだけでスッキリしてしまうかもしれません。
しかし、離婚を考えなければならないほどの問題を抱えてしまったらそうはいきません。
自分の中でその問題について整理ができていない段階では、誰にも相談できなくて、ただひとり毎日悩み苦しんでしまう、ということがあります。
また、悩むことに疲れてしまい、つらい結婚生活の中にいるよりは、まだ未知の世界である離婚後の生活の方がきっと幸せなのでは? と思い込んでしまうこともあるかもしれません。
ところが、想像するのと、実際に離婚をするのとでは大違いです。
まず、現実問題を考えたとき、ひとりきりで子育てをしながら働くというのは、想像を絶する大変さがあります。子供と暮らしていけるだけの収入が得られるか、働いている間の子供の世話は誰がするか……。
また、周囲は、あなたの結婚を祝福した人ほど離婚に反対することでしょう。場合によっては、親までもがあなたの決断に賛成してくれないかもしれません。他にも、離婚によるダメージがあまりに大きいということは、経験してみないと本当の意味ではわからないのではないかと思うのです。
あなたの隣で、「パパとママがどうやらうまくいっていないようだ」と、心を痛めている子供がいるかもしれませんね。あなたのかわいい大切な子供を、今よりもっと苦しめてしまうことにもなるかもしれないのが離婚なのです。
子供のために思い止まれるのなら、ぜひそうしてください。でも、どうしてもこれ以上耐えられない。このまま結婚生活を続けるのは、つらく苦しいだけ。子供にまで苦しみを与えてしまう——。そうした場合には、離婚を選んでも決して後悔はしないでしょう。
とはいえ、私はやはり離婚を積極的に勧めるつもりはありません。離婚をしなくても済むのなら、何としてでもしない方がよいのです。離婚とは、本当に離婚をしなければならない、離婚をする以外もう生きる道は残されていない、という人がするものだと思うからです。
今、離婚を選ぶか、夫婦関係の修復を選ぶか、人生の岐路に立っているあなた。まずは、とことん悩み抜いてください。結論を出すのは、その後でも決して遅くはないでしょう。
本書では、経験者にしかわからない離婚に関するあらゆる情報や、誰にも聞けないホンネや実例などを数多く盛り込みました。ぜひ本書を読み進む中で、さまざまな離婚にまつわるシーンをあなた自身に当てはめてみてください。
離婚についてとことん考えて抜いて、離婚後の生活をシミュレーションして、ある程度の見通しを立てるのです。そのうえで、さらにじっくり考えた末に、やっぱり離婚しかないのだと確信し離婚を決意するのであれば、私はあなたを応援します!
離婚をするかしないかは、幸せになるための究極の選択なのです。最終的に、あなたがもっとも幸せになれる道を選び取ることができますように、私は祈っています。
岡野 あつこ