「性格の不一致」は離婚でしか解決できない?
この章では、離婚を考えるに至ったよくある理由について、私なりの考えをまとめました。あなたが今、夫に対して抱いている感情、離婚を考えるほど夫が許せないと思ったことについて、それが本当に離婚でないと解決できない問題なのか考えていきましょう。
ここでヒラメキを得て、離婚を踏み止まることができればそれがベストです。くり返しになりますが、離婚はつらくて大変なことなのですから。
どうしても別れると決めたのなら、それはそれで最善の離婚ができるように私は応援していくつもりです。
まずは、離婚理由でいちばん多い「性格の不一致」について、離婚するしかないのか考えていきましょう。
「加点方式」で夫を再評価
「結婚前と比べて、すっかり性格が変わってしまった。昔は○○だったのに、今は××なんですもの……」
これを「性格の不一致」だといって離婚を考える妻は、とても多いようです。
でも、ちょっと待ってください。本当に夫の性格が変わったのでしょうか? 私は、性格とはそんなに変わるものではないと思います。では、何が変わったのでしょう?
妻のものの見方が変わったということはないでしょうか。
ひとつの性格要素は、見方によっては長所にも短所にもなるということがあります。結婚前は、夫の性格のある一要素をよい方に解釈していたのでしょう。
「私の彼、とっても優しくて、私の言うことはなんでも聞いてくれるの!」
ところが、結婚して何年かすると、
「うちの夫ったら、何をするにも私に聞くの。『そんなことくらい自分で決めろ』って怒鳴り付けてやったわ。どうして、私、こんな優柔不断でグズな男と結婚しちゃったのかしら?」
このように、夫の性格が変わったのではなく、妻の夫を見る目が変わってしまったということがあるのではないかと思うのです。性格の不一致で離婚を考えている人は、ものの見方を少し変えてみるだけで、離婚の悩みなんて吹き飛んでしまうこともあります。
ですから、
「夫は優しいから、私にとっていいようにしてあげようと気を遣ってくれて、なんでも私に聞いてくれるのね」
と、解釈してみるといいのです。
このように、結婚して数年が過ぎると、自分で気づかないうちに、かつて相手の長所だった点が短所にすり替わってしまうことは確かにあるのです。そして、短所ばかり目に付くことから「もうイヤ!」となってしまうのです。
でも、これではアラ探しです。初心に帰って、相手の性格要素をよく解釈していた頃の魔法のメガネを、もう一度かけてみてはいかがでしょう?
「今さら魔法のメガネは効かないわ」というのなら、①生活費を入れる(借金をしない)、②暴力を振るわない、③浮気しない、この三大要素が揃っているだけで、夫としては合格点と思ってみましょう。
私の教え子である離婚カウンセラーが話していました。彼女は夫の借金問題で離婚しています。
「最近、性格の不一致で離婚したいっていう相談が多いですけど——。私などお給料をちゃんと入れてくれるだけで、なんていい夫なの? って思いますよ。みなさん、夫に付ける点数が厳しいですね」
夫の多額の借金を、本当に苦労して離婚後も数年かけて返した彼女は、こんな見方・考え方をするわけです。
結婚当初のラブラブ時代、夫は100点満点。でも結婚生活の中で、夫に対してガッカリする度に減点して、今では0点もしくはマイナスにまでなってしまったのではないでしょうか?
私は、加点法式でいかなければ、夫婦はうまくいかなくなると考えています。
・子供の面倒をみた→+10ポイント
・食事の後、食器を運んでくれた→+5ポイント(洗ってくれたらさらに+5ポイント)
・駅まで車で送り迎えしてくれた→+10ポイント
などというように。
悪いところばかり目に付くからといって減点していくより、当たり前となっているいいところを認めてあげて、加点していくことが大事だと思います。
減点方式で夫に幻滅している方は、ぜひ加点法式で再計算してみてください。
結婚して、はじめて現れる本性も
一方、もはや夫婦の関係は修復不可能というケースも残念ながらあります。結婚前はまったくそんな素振りを見せなかったけれど、結婚後に生活を共にするようになってわかったことは、度を超えたマザコンだったとか、浪費家で借金まみれだったとか。
こんなパートナーに運悪く当たってしまった方は、夫婦としての関係を解消することでしか解決への道はないでしょう。本当にお気の毒ですが、あなたが悪いわけではないのです。
結婚前にそれを見抜けなかったことで、自分を責めてしまう人もいるかもしれませんが、まったく本性を見せなかったのなら、あなた以外の人とて見抜けないのではないでしょうか? どんなに気を付けていても、交通事故に遭ってしまうことがあるのと一緒です。
おそらく、あなた以外の人と結婚したとしても、うまくはいかない人なのでしょう。
客観的に見て異常であるパートナーの性格にどうしても耐えられないのであれば、いい人生経験をしたと思って離婚し、新しい人生をやり直した方がよいでしょう。