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A章/私の人生を変えたデンマークの生活

『第3の教育』
[著]炭谷俊樹 [発行]PHP研究所


読了目安時間:23分
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   (1)のんびりしたデンマークの生活


 家族とともにデンマークへ移り住んだのは、コンサルティング会社のマッキンゼーに入社してから八年目、三十二才の時のことでした。北欧事務所で二年間を過ごしたのです。

 当時、家族は妻と二才になる少し前の娘でした。私たちの住まいは、デンマークの首都コペンハーゲンから電車で約二十分北の郊外にあり、そのぐらい行くと、もう自然豊かな森の中です。

 敷地は五百坪ぐらいありました。五百坪というと、日本だと豪邸のように聞こえますが、向こうだとそれは当たり前で、一般家庭なら平均でも三、四百坪ぐらいはあります。敷地内に元馬小屋として使われていた建物があって、それが日本の家屋と同じぐらいの大きさでした。

 庭では子どもとサッカーもできます。ゴルフだったらチッピングぐらいの練習はできます。また、リスが遊びに来たり、キツネみたいな小動物が来たり、静かで素晴らしい環境でした。

 デンマークでは大体、仕事は八時から働きはじめ、十六時の定時で終わって家に帰り、後は家族と団らんをしたり、サッカーを観にいったりと、ゆったりとしたライフスタイルで暮らしていました。通勤ラッシュもありません。それにみんな私服なのです。スーツを着るという習慣があまりない国なのです。

 デンマークは外国人や移民が少ない国でしたので、われわれのような東洋人は珍しかったのでしょう、街中を子どもと歩いていても、珍しそうに見られます。見られても、差別的なものは全然感じられませんでした。たとえば、子どもを見て、かわいいわねとか、髪の毛が真っ黒でゴージャスとか、キュートとか、みんなニコニコして見てくれるので、非常に気持ちのいい国でした。

 とにかく豊かでのんびりした国で、私は最初はこの人たちは余りやる気がないのかな、と勘違いしたくらいです。しかし、いろいろと話している内にそうではないことがわかってきました。



   (2)北欧のビジネスマンと教育


 私は経営コンサルティングの仕事をしていました。会社全体の経営方針を考え、どういう市場に出ていくべきか、どういう商品を出すべきか、どこと提携すべきか、海外進出はどこに力をいれるべきか、そういったことをいろいろ調べて、企画立案したり実行のお手伝いをしたりする仕事です。この仕事を通じて、企業のトップから現場の人たちまで、いろいろな方々とつきあい、話をしてきました。日本で八年、デンマークやスウェーデンやフィンランドの会社で二年、いろいろな方と仕事を通じてつきあいがありました。

 それで日本と北欧のビジネスマンの違いを大きく感じたことがあります。

 まずはコミュニケーションのスムーズさです。みな、自分の意見をしっかりと持っていて、それを論理的にきちっと説明できる。会議をやっても、今日の議題はこうだと言えば、すぐに各自からいろいろ意見が出てくる。「じゃあ、こう決まりました。はい、終わり」という形で、非常に効率的に進む。戦略を立てるといっても、自分の戦略の考え方をしっかり持っていて話をする。ですからパッパッと話が進むのです。

 日本ではまず戦略という言葉一つとっても、みな持っているイメージが違ったりする。会議にしても、議題が定まらないままやっているかのようで、延々と時間だけが過ぎていったりする。効率が悪いのです。実感として、同じことを決めるのに日本のほうが二、三倍時間がかかります。

 一方、日本の生産の現場、工場は非常に効率がいいのです。たとえば、マッキンゼーでいろいろ調べてみたところ、工場の生産性では自動車と電子分野と、機械分野の一部、この三つを日米欧で比べると、日本の生産性が一番高い。しかし、それ以外の分野ではアメリカのほうが高いということがわかりました。

 日本は生産現場は概していいのですが、ホワイトカラー層、特にマネージャークラスの仕事の効率が悪いのです。最終決定に至るまでのいろいろな人のコンセンサスを作っていく会議などの、時間一つ一つが全部長い。労働時間の効率が悪いのです。

 なぜ、日本と向こうとで、こんなにホワイトカラー層に違いがあるのか不思議でした。

 経営やコンサルティングというのは、情報を集めて分析し、自分の案を考え、それを提案して人に伝えるという流れがあり、そういったトレーニングが求められます。
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