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教育
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G章/私の受けた教育と生い立ち

『第3の教育』
[著]炭谷俊樹 [発行]PHP研究所


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   36)行きたくなかった幼稚園


 小さい頃、私は神戸に住んでいました。

 もともとおとなしく、活発に友だちと遊ぶという感じではありませんでした。近所の子どもたちと遊んでも、ついていくというタイプでした。自分からは仕掛けず、いつも友だちがリーダーシップをとり、私はそれに合わせていました。

 ただ根気は結構あって、しつこく一つのことをずっとやっている子で、一人でゆっくり遊んでいる手の掛からない子だったようです。

 親や先生を困らせたのは、幼稚園の入園式ぐらいでしょう。

 ミッション系の幼稚園に年中さんから行きました。入園式の時に、みんなはもう教室に入っているのに、私だけ母親の手を引っ張り、嫌だ嫌だと帰りたがったのですが、先生に両方の手を引っ張られて引きずり込まれました。ドアにへばりついてわんわん泣き、行かない、行かないといっていたようです。それで、五分ぐらいすったもんだしたようです。

 先生も知らないし友だちもいないという世界だったので、不安だったのでしょう。私はまだ一人っ子でした。

 先生に引きずられるようにして教室に連れ込まれ、自分の席に座らされて、やっと少し泣き止んだようです。そのとき、机の上に平仮名で「すみたにとしき」と書いてあったのが、ちょっと(うれ)しかったことを今でもはっきり覚えています。あっ、自分の名前が書いてある。だから、これは僕の場所なのかと思ったのです。それが今でも印象的です。それで、幼稚園の教室にいるっていうことに対して自分が納得できたのでしょう。自分の場所なのだから、じゃあちょっといようかと、そんな気分だったのではないかと思います。

 翌日から、幼稚園生活は一応泣かずに行っていたようですが、行かないといけないみたいだから行こうかという感じで、特に楽しかったという思い出はありません。



   37)父の死と母の再婚


 私は幼稚園の時から小学校四年ぐらいまで、あまり友だちがいませんでした。学校ではいつもおとなしい子と言われていました。

 親戚(しんせき)の家に行っても、親の友だちの家に行っても、ほとんど無口になってしまって何もしゃべらない。何を聞かれてもイエスかノーでしか答えない。学校好きって聞かれたら、うん、とかわからない、の一言。それで終わりでした。愛想の悪い子だったと思います。ですから私が講演をしたりテレビにでたりして一応ちゃんとしゃべっているのを見ると母はどうも信じられないようで、「あんたも一人前にしゃべれるようになったなあ」といわれます。

 実は私が小学校一年生の正月に実の父親が病死したのです。父は二十九才の時にすでに不治の病と言われたようですが、入退院を繰り返しながら、三十七才まで生きました。そんな感じですから家にいることも少なかったのですが、私が疑問をもったときにいろいろ教えてもらった記憶があります。電車がすれ違うとなぜ早いのかとか、野球のポジションとか図を書いて教えてくれました。父の死に直面しましたので自分もいつ死ぬかもしれないと思って生きてきたように思います。

 二年生から五年生までは母一人子一人で、特に二年から四年までは母親が中学校の英語教師として働いていましたから、いわゆる(かぎ)っ子でした。ますます孤独というか、あまり明るい子ではありませんでした。

 ところが小学五年になると、母親が連れ子同士で再婚したため私に二つ下の弟ができ、それでお兄さんになったんだからちょっとがんばらんとあかんと思ったのか、それからの私はだいぶ活発になりました。妹は六つ下でしたが、彼女は私たちと一緒には住まず、父方の実家のほうで、祖母といました。私が中学校一年の時、新しい父親と私の母親の間にもうひとり妹が生まれ、それで血がつながったというか、家族が一体化した感じがしました。
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